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2022.07.30

大会情報

テニスのジュニア世界大会、“11歳以下・13歳以下の世界選手権”とも呼ばれる「ダブボウル」を紹介〈前編〉

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「ダブボウル」に出場するメリット

有名な国際大会であるとはいえ、日本からは決して近いとは言えない場所、クロアチアで行われる「ダブボウル」。日本在住のジュニアにとっては気軽に参加できる大会というものでもないだろう。そこで「ダブボウル」に出場するメリットを紹介したい。

●日本では希少なクレーコートでの試合を経験できる
日本はもちろん、アジアにおいてクレーコートでの試合はそれほど多くない。ヨーロッパで試合をするメリットの一つがクレーコートでの試合を体験できることだろう。

クレーコートでは高くボールが弾む反面、ハードコートのように速いボールでウィナーを取ることが難しくなる。そのため、相手をコートの外に追い出すショットやヘビートップスピン、前に出て相手の時間を奪うプレーなどを含めた戦略が必要になる。また、ハードコートや砂入り人工芝(オムニ)コートとは異なるフットワークも必要となるため、将来、国際的なレベルで活躍したい選手にとっては貴重な体験となるだろう。


会場の隅に置かれた優勝トロフィー

●身長が非常に高い選手と試合をすることができる
平均身長が高いことで知られるクロアチア人。周辺の国々の選手も同様であるため、参加者の中には、U13カテゴリーですでに170cmを越えるような身長の選手も存在する。アジアにおいては、同年代のカテゴリーでこれほど身長差がある選手と真剣勝負をする機会はそう多くないだろう。世界を目指す選手にとって、早い段階で彼らの高い打点からのサーブやパワーのあるボールを返球する経験を積むことは、非常に有意義であると言える。

●優勝者はIMGでのトレーニングが無料に
優勝者にはさまざまな特典が用意されている。IMGでの練習を無料で受けることができる権利や「ビディバドゥ(BIDI BADU)」のウェア、そしてU11優勝者にはアメリカで行われるジュニア世界大会「リトル・モー(Little Mo)」の、U13優勝者にはフランスで行われるU14世界最高峰のジュニア大会「プチザス(Les Petits As)」へのワイルドカードなどが与えられる。

●ヨネックスの担当者も試合観戦
ヨネックスの担当者が試合を見に訪れており、優勝者はヨネックスとの契約が可能だ。「スムリクバボウル」や「ダブボウル」など有名な国際大会に出場すると、スポンサーと知り合う機会を得ることもできる。特に、ヨネックスは大坂なおみ(フリー/世界ランキング40位)をはじめキャスパー・ルード(ノルウェー/同6位)やニック・キリオス(オーストラリア/同47位)ら多くのトップ選手と契約を結んでいる。選手に好まれる品質もさることながら、ヨネックス側の選手を見る目も確かなようだ。

●開催地自体が魅力的な観光地
クロアチアのドゥブロヴニクは、『魔女の宅急便』のモデルとなった都市の一つであると言われており、アドリア海の美しさを堪能できる素晴らしい町だ。アメリカのテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の舞台となったロクルム島にもドブロブニク市内から半日で行くことができる。

とはいえ、アジアから行くには遠く、この大会だけ出場するために訪れるのはなかなか難しいだろう。そのため、同大会に出場する選手の多くが、6月末に同じくクロアチアで開催される「スムリクバボウル」と併せてスケジュールを組んでいる。


会場のドゥブロヴニク・テニス・センターから一番近いベルビュー・ビーチ。徒歩5分の距離にあるので、多くの選手が試合や練習後に訪れていた


澄んだ海で泳ぐことで、試合で疲れた体をクールダウンできる

練習コートについて

ドゥブロヴニク市内にはテニスコートが2ヶ所しかない。次に近いのは空港近くにあるテニスコートだが、「ダブボウル」が行われる市内の会場から車で約30分、料金はUberで片道170クーナ(約3,160円)近くかかる。

大会が開始してからは練習コートが朝と夕方に無料で開放されるため問題ないのだが、大会前に早めに到着した場合、多くの選手が練習場所を確保しようとするため混雑して、なかなかコートの予約が取れない。大会が行われる会場で練習したい場合は早めに主催者に連絡を取り、現地で行われるグループレッスンや、所属するコーチとのプライベートレッスンをお願いするなどして練習時間を確保するようにしたい。


ドゥブロヴニク・テニス・センターとともに会場として使用されるドゥブロヴニク・テニス・クラブ

会場内について

●カフェでは食事は提供されていない!
会場内にはカフェがあり、飲み物やアイスクリームを購入することができる。コートの予約やボールの購入もこのカフェで済ませることができる。飲み物は250mlのボトルで15クーナ(約280円)。コーヒーの自動販売機もカフェ内に設置されている。ただ、このカフェでは食事を提供していないため、ランチなどは各自で持参する必要がある。


会場内にあるカフェ。コートの予約やボールの購入ができる

●ストリンガーが常駐
大会期間中、メイン会場となるドゥブロヴニク・テニス・センターにはストリンガーが常駐している。ストリングを持参する場合、ラケット1本につき10ユーロ(約1,400円)。ストリングを持参しない場合は20ユーロ(約2,800円)となる。張り替えにかかる時間は、大体1時間から2時間程度。試合が近い場合は最短20分で仕上げることも可能なようだ。ラケットを多く持参していない遠方から来る選手にとっては非常にありがたい。

旧市街にある教会でドロー抽選会が行われる
旧市街にある教会でドロー抽選会が行われる

以上、前編では「ダブボウル」の大会概要や大会へ参加するメリットなどを紹介した。次の後編では、2022年大会で活躍した日本人選手や外国人選手のプレーの特徴、近隣のレストランや宿泊施設などについてレポートする。

〈後編に続く〉



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写真=山根ゆずか