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2022.08.29

選手情報

「数年後、常に4、5選手が100位以内に入ることが目標」日本男子ナショナルコーチ高田充氏が語る[USオープン]

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「スペシャルなものを持っていないと」海外選手とは立ち向かえない

Q.海外選手というサイズ的に勝る選手が多いです。その中で、西岡良仁(ミキハウス/同55位)選手のようにその不利を感じさせない選手もいますね。

「パワー、身長と外国人と比べるというより、どうやって戦うかだと思います。緩急を使う、ライジングなどで早い展開にするとか何かスペシャルなものを持っていないといけません。日本人選手でも、スペシャルなものを持っていて、感覚的にも優れている選手はいます。それがこれからの課題でもありますね」

Q. 日本人ジュニアは世界的に見ても技術レベルが高いように思いますが、自分なりのスペシャルを作ることは、幼い頃からの練習環境が影響するものでしょうか?

「技術って何か? と言われた時にフォームの形が安定しているとかではなく、ゲームの中で、相手がこの場所に打ってきたボールに対して、スピンで返したり、嫌なところにスライスで返したりするというのが、大事な“技術”なんですよ。そこの考え方は違うなと思います。

例えば、ベースラインから2mの位置でクロスへ打つ技術とかではなくて、そこでスピンで打つ技術があるか、フラットで打つ技術があるか!?  例えばヨシ(西岡)は走らされても、フラットでクロスへ打つ技術を持っています。だから左右に振られても、相手は容易に前に出てこられない。それができないと相手はネットへ出きます。だけどヨシはそれをさせないわけです」

Q.そういう世界の状況を鑑みた時に、日本のコーチや指導者に伝えたいということはありますか? 

「型にはめることは悪いことではないと思っています。どうしても難しくはなるのが練習環境ですね。一概に変えられるものではないし、その中でどういう風にしていくかという工夫が必要だと思っています。

今までの固定観念のような技術ではなくて、例えば圭(錦織圭/フリー・同370位)から聞いた話だとコーチは自由にさせてくれたと言っています。IMGで圭たちを見ていた米沢(徹コーチ)さんがいた時に、練習に参加したことがありますが、こういうふうに来たらこう打つといった技術練習を結構やっていました。インサイドアウトからドロップショットを打つとかゲームに使う技術練習ですね。それはあっていいと思うし、そのジュニアに合ったプレイスタイルを14歳ぐらいまでに作りあげられるか。コーチたちがいかにその子を伸ばしてあげられるかですね」

Q.ツアーでは、メンタル面での浮き沈みが激しくなることもあるかと思います。西岡選手も年始には苦しい時期もあったと思いますが、どう乗り越えるべきといった筋道はあるものでしょうか?

「人によって違うので、乗り越え方というのはないと思います。8月、ワシントン大会(ATP500)では準優勝と結果を残しましたが、それまでにきっかけは掴んでいたはずですし、試行錯誤を繰り返していたと思います。技術的な問題とかではなく、そこに辿り着くまでの積み重ねで良くなった時にポンと抜けられるように準備しておくこと。プレーが大事なのかもしれないし、メンタルかもしれない、例えば休憩かもしれない。人それぞれだと思います」



ワシントン大会で準優勝を果たした西岡良仁(写真:Getty Images)


Q.サポートする立場ですが、ずっと帯同するわけではない。選手との距離感というのは、難しいですよね。

「そうですね。例えばヨシとは今、ずっと一緒にいるわけではないし、ワシントンでは2回戦まで一緒にいましたが、いい距離感が取れていたと思います。選手とずっとよい距離感で居続けるのは大変だと感じています」


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