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2023.09.21

選手情報

車いすテニス・小田凱人の飛躍に近道なし! 熊田浩也コーチ「基本練習こそ成長を一番感じられる」

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――むしろ練習方法を変えなかったからこそこの躍進につながっていると。
 
「つまらない練習をこなす」、言い方は良くないですが基本練習は楽しくはないですよね。対人で打ち合った方が楽しいですし、ゲーム形式の練習も面白いと思います。ですが、(我々の練習は)本当に同じところに打つ練習が多いんです。だけどそれって一番変化がわかる。打っている凱人もそうだし、うまくいっているのか、そうでないのかのジャッジがしやすいと思います。だから基本練習こそ自分の成長を一番感じられる練習だと思います。

――練習時間はどのぐらいで設定されているんでしょうか。

試合直前になると対人を増やしたりするのですが、トーナメントが終わって帰り、練習するぞ!となると3時間ある練習のうちの3/4、半分くらいは基本練習です。

――それはすごいですね(笑) みなさんいろいろ新しいことを試したり、いろいろやりたがると思います。それは熊田コーチを信頼していることだからできるように思います。

凱人と練習し始めてからそれしかやってきていない。私はそれ(基本練習)を大事にするというモットーがあります。

――熊田コーチの「テニス論」はどこからくるものなのでしょうか。

自分も若い時にプレーヤーをやっていた時があって、その時もそういう基本練習が多かったんです。トップ選手でもそういう地道な練習というのを試合の合間でも試合後でもやっています。特に車いすテニスは足が使えないので、ボールと自分の距離感をアジャストするというのが難しい。(健常者の場合だと)足が使えて細かく動いて調整することはできますが、車いすだと何回も同じ動きを繰り返して、感覚で覚えなければいけない部分もあると感じるので反復練習は大事だなと思っています。

――車いすならではのシステマチックな動きなどもあるということでしょうか?

タフな状況になってもボールをコートに入れないといけません。だからこそ反復練習は必要です。ただ同じところにボールを出し続けて打つという練習もありますし、本当にランダムにボールを出すこともあります。これだけの数のボールをコートに入れないと終わらないよという練習もあります。アレンジはしますが基本的には地道な練習が多いです。

――「チャンピオンを生む秘訣」を皆さん知りたいと思い、何か特別なことをしているのではないか、すごいものを食べているとか聞きたがっているのでは?

皆さん期待して聞いてくるんですけど、特に変わったことはやっていないんですよね。

――練習はコツコツ。試合ではものすごくファイトしていますね。メンタル的な特徴みたいなものはありますか?

全仏とウィンブルドンで優勝できて、今年に入って彼の変わったなと思うところは大事な場面、駆け引きする場面での勝負強さです。自信を持ってラケットを振れるようになったし、強打して打ち込んでいくボールとしっかりとコートに入れにいくボールの選択ができるようになったと思います。それが普段の練習の地道な練習をやりきってきた結果で、自信がついて勝負強さ、この場面ではこういうショットの選択をするということがオートマチックにできるようになってきた。(試合中にも)これを獲らないと相手に流れを持っていかれるというゲームやポイントでもポイント獲得率が上がったり、ゲームが取れるようになったのは一番成長した部分かなと思います。

――コーチの皆さんは生徒に「基本練習」をやってほしいと思う一方で、選手がそれを嫌うこともあります。小田選手は基礎練習を理解し、納得して常に取り組んでいると感じましたが、これを続けていればチャンピオンになれる!と確信を持てる継続力についてどのように考えていますでしょうか。

毎日一緒にコートに立っていて、昨年そういう取り組みを通して結果がついてきたので嫌でもやっぱり必要という認識はあるのだと思います。そこで結果が出てこなければ、当然それは私の責任でもあります。


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