close

2023.10.30

選手情報

強豪選手を輩出するノア・ジュニアテニスアカデミー神戸垂水の寺嶋啓コーチ、約2年のスペイン留学で学んだ世界の主流“コートの中に入って体重を乗せて打つ”

  • 著者をフォローする
  • 記事を保存

SHARE

  • 著者をフォローする
  • 記事を保存



――テニスという面では日本とスペインでプレーも違うような気がします。

「確かにヨーロッパの基本はクレーコートですね。そこで日本人がプレーすると、足が止まって手だけで返してしまうことがありますが、スペインではしっかり足を使ってボールを飛ばすことができていると思います。また、基本的にはコートの後ろに下がって打つイメージがスペインのテニスにありますが、一番のコンセプトは“コートの中に入って体重を乗せて打つ”ということ。それをしたいがために、後ろに下がってもしっかり守りたい。そこで足の強さがあれば、前に入った時にも生かせるのです。試合で前に踏み込めるボールというのは、上のレベルになればなるほど少なくなるものですが、トップの選手はそれを見逃さずにフッとコートの中に入る。そのためのスペインドリルで、本質を学んだと思います。元ダブルス世界1位のエミリオ・サンチェスも言っていましたが、とにかく体重を乗せてボールを打つんだということをベースにしています」

「あとスペインはとにかく試合の量が多いです。1週間で3大会も出れてしまう。週末のトーナメント、JOPのようなトーナメント、1ヵ月~2ヵ月かけて行うカタルーニャ州のトーナメントのようなものです。そういう試合がたくさんあるので、試合をして帰ってきて基本練習をするというサイクルがあります。その環境は日本になく、日本は1セットマッチで進みますが、海外は4ゲームの3セットマッチが主流で試合感覚を養うことができるのは良いことだと思いました」



寺嶋啓コーチが指導する選手の一人の松田鈴子(ノア・インドアステージ)

――コーチとして選手の見方が変わったのではないでしょうか。

「その面で言うと、選手の試合を見て競った場面でどんなプレーをするのかということ。例えば、東レPPOの予選1回戦で松田鈴子が土居美咲選手の引退試合として対戦しましたが、あれは誰でも緊張します。ですが、ああいうときにどんな行動、対応をするのかを見て選手のクセを見ます。あと日本のジュニアを見て思うのが、多くの選手がボールを飛ばせていないということです。“ボールを飛ばす”というのは、簡単なようで実は難しい。日本の選手は、スピンをかける時にラケットを下から上への動作が多く、球が浅くなったり力のない打球になってしまう。そうではなく前への出力を忘れず、コートの端から端のフェンスにノーバウンドで当たるぐらい飛ばす感覚をつけてもらいたい。そうすれば海外の選手とも打ち合うことができます」

――それが顕著にあらわれる場面というのはありますか?

「フォアハンドのダウン・ザ・ラインですね。日本の選手は、ネットスレスレを通していて、試合の競るようなプレッシャーのかかる時になると入らなくなってしまい、結局打点を落としてクロスに打つ。その時点で海外の選手からするとクロスに来るんだと読まれてしまいます。海外の選手は、ネットの高いところを通しつつスピードもあるので、展開力にも差が出てしまいますね」

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

Photo by Tennis Classic