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2020.07.29

デイリートピックス

NY便り「【単独ルポ後編】:ニューヨークのインドアテニスクラブのコロナ対策」

前編では、テニスクラブがプレー前にとっているコロナ対策についてご紹介した。6フィート(約1.8m)のソーシャルディスタンスを取ることや咳、くしゃみをするときは手の平ではなく、腕を使うことなどのガイドラインが設けられている。驚きだったのは、プレーするために誓約書を書かされること。万が一、感染した時のため、訴訟問題にならないように、いかにも”アメリカらしい”危機管理である。これらのガイドラインを守り、いざコートへ!

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USTAが定める厳しいガイドライン
ボールは生徒に拾わせず、備品は常に消毒


カーテンなど至るところで「触らないでください」のサイン

この日のレッスンの担当は、Alexa Goldenbergさん。レッスン生は、男女や人種も違う子が集まっていた。USTA(全米テニス協会)のガイドラインには厳しいものがあり、ボールを生徒に拾わせないことや複数人のレッスンで同じボールを使わないこと、常に備品等の消毒することなどが求められている。


写真左より使ったボールを消毒することスプレー、消毒液を入れるサニタイザー、ネットの白帯部分などの拭き掃除用スプレー。

このカートはAlexaさん専用。ボールには担当者のAGのロゴが書いてある

営業再開のために多額の出費
今後も安全性に力を注ぐテニスクラブ

冬場も暖かく一年中テニスができる地域を除いて、この地域のテニス愛好家の人々は太陽の下でテニスをする習慣にある。そのため、インドアテニスクラブはジュニアのサマーキャンプや大人のUSTAチームのリーグ戦で収益をあげるのだが、今年はそれも行われず、これまでにない厳しい経営を迫られている。

同クラブのオーナーであるJoe Curtoさんが現状について教えてくれた。
「これまでに空気清浄機や新型コロナウイルス関連の施設のアップグレードに2万ドル(約211万)を費やし、夏が終わる前に更に5〜7万ドル(約527~738万円)の追加費用を予想している。これらの費用に適用するUSTAからの2,000ドル(約21万円)の助成金を申請し、承認された。ビジネスはゆっくりだが確実に進んでいる。7月にクラブを再開することになったが、すでに多くの人々(お客様)が他(のクラブ)でやる決断をしてしまった。理想的なタイミングではなかった」と語り、厳しい現実があることを教えてくれた。

同クラブは、計画的にコロナ対策や今年の秋冬を見込んだビジネスの回復を視野に入れているが、大きな収入源を失った夏でもある。従業員の確保やクラブの維持費を考えると、「経済的体力」がないクラブ、安全性の向上も見込めないクラブは、ますます苦しい状況を迎えることになるだろう。

現在、全米の多くの州で感染拡大が続いているが、テニスは比較的安全なスポーツという認識は広がっている。それでも、ここまで厳密に対策をやるのは、もしインドアテニスクラブの安全性に疑問符がつけば「信用」を失う可能性もあるから。だからこそ、各クラブも過敏なほどの対策を取っているのだろう。今後もより多くのテニスクラブが安全対策を行い、プレーヤーに楽しいテニスライフを送ってもらいたいと願うばかりだ。


窓からの観覧にも限られたスペースのみとなっている

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文=知花泰三(全米プロテニス協会公認指導員資格保持者)

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