close

2020.08.14

選手情報

1年ぶりのツアー復帰、錦織圭の戦いに期待!

  • 著者をフォローする
  • 記事を保存

SHARE

  • 著者をフォローする
  • 記事を保存

2019年のUSオープン以来、実に約1年ぶりとなる復帰戦が間近に迫ってきた。8月22日から、今年はニューヨークで開催されるウエスタン&サザンオープン(ATP1000)で、ついに錦織圭選手(日清食品)のプレーを見ることができる。

休養期間中、新型コロナウイルスによるロックアウトもあったため、故障からの回復も予定どおりというわけにはいかなかったはずだ。それでもツアーに出場するわけだから、できるという自信もあるのだろう。プレーはもちろん、新コーチのマックス・ミルニー氏との相性がどうかも気になるところだ。

武器となるラケット「ULTRA TOUR 95CV」は、新しいコスメになっている。SNSでも公表しているため、ファンの人は既にチェックしているはずだが、新ULTRAシリーズと同じ、2020年バージョンのデザインになっている。


ツアー同様に、自身にとっても心機一転となるシーズン再開。新しいコスメで挑むというのは、いいきっかけとなりそうだ。フェイス面積95平方インチ、平均バランス32.5cmで、フレームはレクタングル形状。フレーム6時部分に仕掛けられた「クラッシュゾーン」が、インパクト時につぶれることで、スイートエリアの拡大、パワーUPを発揮。そして振動吸収に優れたカウンターベイルを採用している。とにかくパワフルな同モデルは錦織選手が、これならば世界と戦えるとチョイスしたものである。

興味深いのは、ストリングである。錦織選手の場合、メイン(縦)に「Wilson NATURAL 16 (1.30mm)」をクロス(横)に「LUXILON ELEMENT 125」を張るセッティング(2種類がセットになった「KEI'S COICE PREMIER IV」税別¥7,400が販売されている)。
縦と横に異なるストリングを張る“ハイブリッド張り”は、2つの性能を組み合わせることができ、ツアーでもかなり人気のある張り方だ。ただ、錦織選手が特徴的なのは、メインにナチュラル・ストリングを張っているところ。ナチュラル・ストリングは、伸縮能力が高い(人工的なストリングではかなわない)ため、こちらも使用するプロは少なくない。ただし、メインに張るとなると、その数は少なくなる。一番有名なのは、ロジャー・フェデラー(スイス)で、彼はメインに錦織選手と同じ「Wilson NATURAL GUT 16(1.30mm)」を張り、横に「LUXILON ALU POWER ROUGH 125」を張っている。そのほか、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)も縦ナチュラル派である。なぜ少ないかというと、パワーが出過ぎるからである。つまり、それを操るだけのテクニックが必要となるわけだ。



さて錦織選手がクロスに張っている「LUXILON ELEMENT 125」は、ポリ・ストリングであるが、その柔らかさが特徴。つまり柔らかいナチュラルと柔らかいポリの組み合わせということ。これをかなりローテンションで張る時もあると言われている。パワフルなラケットに、ダンピング(ストリング面のたわみ)が大きくなるセッティングを合わせ、さらにローテンションとなったら、コントロールが極めて難しくなってしまう。うまく使えれば、強烈な武器になるが、少し外れてしまえばエラーにつながる。ある日本のプロは、錦織のセッティングに対して「あの人は特別ですから(笑)」と語っている。プロをして、そう言わしめるセッティングで、世界のトップと戦っている。プレーを見ているだけでは見えない部分だが、そんなことを知るだけでも、試合をおもしろく見る要素になるのではないだろうか。

ウエスタン&サザンオープンは、直後にUSオープンも開催されるUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターでの開催となる。ご存じの通り、USオープンでは、2014年大会で準優勝、2016年大会、2018年大会でベスト4と、相性のいいグランドスラムである。復帰直後の試合となるだけに、過剰な期待は禁物かもしれない。それでも、期待してしまう。それが錦織圭である。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma