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2021.05.04

選手情報

大坂なおみや錦織圭にはどんなスポンサーがついているのか? 選手の経済事情を紹介

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大坂なおみと錦織圭では
スポンサー企業に特色がある

大坂のスポンサーは日清食品や全日空(ANA)、ヨネックスなど国内の企業にとどまらず、ナイキやマスターカードなど海外の企業も含まれている。また、女性ならではといえる資生堂といった化粧品ブランドも名を連ねる。

そのほかにもタグ・ホイヤー、ルイ・ヴィトンなどとも契約。前述のフォーブスの「世界中のアスリートが得た収入」ランキングによると、大坂のスポンサー収入は約40億円と発表されている。

一方の錦織は、日清食品やユニクロ、ジャックス、アサヒビール、JALなど国内企業が多い傾向がある。海外企業としてはジャガーやウイルソン、ナイキなど。なお、前述のフォーブスのランキングによると、錦織のスポンサー収入は約35億円と発表されている。

企業側は当然ブランドイメージに合ったアスリートとの契約を望んでおり、スポンサー契約によりターゲットとする市場における認知度を高める狙いがある。そのため、アスリートが契約しているスポンサー企業のリストを見ると、そのアスリートに対するイメージや、どのような人々に人気があるのかをうかがい知ることができる。

スポンサーの形態はさまざまなものがある

スポンサー契約にはさまざまな形態があるが、日本での主な形態として、まず「所属契約(専属契約)」がある。本記事を含め新聞記事やニュースなどで、大坂や錦織ら日本人選手の名前の次にカッコ書きなどで「(日清食品)」という記載を目にするだろう。これは所属契約先を指している。所属契約は契約期間に対していくらスポンサー料を払うという形態で契約をする。

人気のある選手ほど、より高額になる。企業側は自社の知名度を高めることができる一方、選手のスキャンダルなどによってイメージを傷つけられるリスクもあるため、所属契約を行うアスリートの選定には非常にセンシティブだ。
個人としてもイメージのいい選手は高額な契約料を得やすくなるわけだ。

次に「用品使用契約」がある。テニスのラケットはプレーヤーにとって必須である一方、試合に出れば何本ものラケットを頻繁に取り替える必要もあり、高額な費用がかかる。そこで非常にありがたい契約となるのが用品使用契約である。これは、スポンサー企業が開発・販売する用品を使用する契約をアスリートと結ぶことである。テニスであれば、ラケットやストリング、シューズなどが該当する。テニスは消耗品が多いため、用品のサポートは非常に重要だと言える。また、有名選手になると、企業側は用品を提供するだけでなく、広告料として選手に契約料を支払うのが一般的だ。

そして「パッチ契約」。これはウエアに企業のロゴを入れる代わりに契約料をもらうスポンサーシップである。選手の露出が高いほうが企業としては当然うれしいため、試合に勝ち進むことができるプレーヤーが契約を得やすい。通常ナイキは自社の試合用ウエアにほかのスポンサーパッチを付けることを許可していない。ところが、大坂との契約においては、ANAや日清食品のスポンサーパッチを付けることを特別に許可している。

若いうちにスポンサーを
決めてしまうことのデメリットも

テニスはレッスン費用やギアなどを含めて一般的に見ると非常にお金がかかるスポーツである。そのため、早い段階でラケットやストリングのスポンサーを得ようとするケースが多い。そのブランドの商品が自分に合っていればいいが、変更したい場合でも契約終了を待たなければならないなどの規制が出てくる。また、ダニエルが語っていたように「スポンサーがつくことによるプレッシャー」も当然あるだろう。錦織のように若いうちに成功を収める選手だけでなく、長い間経済的な心配をしながら戦わなければならない選手もいる。

プロテニスは実力がものをいう厳しい世界。テニスの道を追求したいという気持ちと、経済的なプレッシャーの間で戦うテニスプレーヤーに、あらためて敬意を感じずにはいられない。


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写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma