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2021.11.06

大会情報

最近耳にすることが増えた「UTR」。その仕組みとアメリカの大学がUTRの試合数をチェックする理由

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そもそもUTRって何か? わかりやすく解説!(写真はイメージ)

UTRとは世界標準のテニスレベル評価システム

アメリカや香港などの一部のアジア圏で認知度が高まっているUTR(ユニバーサル・テニス・レーティング)。日本でもUTRの大会が開催されているものの、それほど重要視されていないのが現状だ。とはいえ将来、海外の大学でプレーしたいジュニアにとってはできるだけ参加しておきたい大会でもある。そこで、UTRとはどのようなものか、またUTRの結果を生かす方法などについて紹介する。

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順位ではなくレベルでわける

UTR(Universal Tennis Rating)は、独自のアルゴリズムによってテニス選手のレベルを導き出すシステムであり、世界中で採用されている。UTRのレベルは、アメリカの大学にテニスで奨学金を得て入学したい場合に非常に重要視されることで知られている。レベルは1.0から16.5まで存在する。UTRはプロ、アマチュア、国籍、年齢を問わず同じ評価基準において、すべての選手が評価される。例えば、ジュニアとして活躍する子どもと、ウィークエンドプレーヤーの父親が同じグレードである、ということもあり得るのだ。

香港においては数年前からUTRの大会が数多く開催されるようになっており、選手にとっては参加できる大会が増えたことで歓迎されている。UTRの大会はテニスクラブやアカデミーが主催している。

ナダルのアカデミーでもUTR公認大会を開催

UTR公認の試合に出場すれば、そのすべてが評価対象となる。勝ち負けだけでなく、試合の規模や相手の強さなども評価に影響する。UTR公認の試合は世界中で開催されており、基準さえ満たせばどこにでも出場することができる。ラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク5位)のアカデミー「ラファ・ナダル・アカデミー」もUTR公認の試合を主催している。

UTRの試合は詳細な年齢制限よりも、レベルで制限される場合が多い(大まかな年齢制限が設けられていることもある)。つまり、大会ごとに「レベル4.5以上限定」などと表記されている。どの大会においても、自分が出場基準を満たしていれば申し込みすることが可能だ。

UTR大会に参加するメリット
一度の勝ち負けにとらわれすぎない総合的な評価

UTRでのレベルは、世界的に有名な大会に出場する際にシードを得たり、出場権を得たりするのにも有効だ。また前述の通り、アメリカの大学にテニスの実績を利用して入学したい場合の評価基準にもなる。1試合での結果にとらわれず、過去12ヶ月のうち最新の30試合からアルゴリズムにより選手のレベルを評価する点も魅力だ。若い頃から一つの試合に勝った、負けたということだけにとらわれていると、スポーツ自体の楽しみを忘れてしまいがち。その点、ヨーロッパにおいては毎週どこかでジュニアの試合が行われており、出場できる回数が多い。そのため、今週負けても“来週また頑張ろう”と気持ちを切り替えやすいと言える。これはプロのツアーにおいても同じである。

大きな大会で勝つことを目標にするのもいいが、総合的に見てプレーがよくなっているかどうかなども大切な要素だ。UTR公認の大会に数多く参加し、総合的な評価を指標にすることによって、一度の勝ち負けにとらわれすぎずに済むというメリットがある。

アメリカの大学が見るのは、勝ち負けよりも試合数
試合にたくさん出て楽しみを増やそう!

アメリカの大学に進学する際、大学側のテニスコーチが重要視するのがUTRの試合数だ。実は、勝ち負けよりも試合数が重要視されるとも言われている。というのも、大学テニスではチームの一員として多くの試合に出場することになる。そのため、競争心の高い選手が好まれる傾向がある。当然UTRのレベルが高いに越したことはないが、勝ち負けだけでなく試合数も見られている、ということは覚えておきたいポイントだ。

全国大会などの大きな大会での成績を重視する傾向は、ジュニアのプレッシャーを大きくして楽しみを奪ってしまうことにもなりかねない。また、一度負けてしまうとその後の予定が長く空いてしまう場合もある。UTRは選手を平等に評価するシステムであると同時に、大会のクオリティーを保持しながら試合数を増やすことにも貢献している。日本でも今後UTRの試合が増えていくことを期待したい。

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写真=石塚康隆(NBP) Photo by Yasutaka Ishizuka