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2022.12.01

ジュニア選手

〈柳川高校・変化を恐れない名門1〉16年ぶり総体優勝への流れをつくったのは、直前に組むことが決まったダブルスペア【テニス強豪校紹介】

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変化を恐れない名門・柳川高校の改革

だが、そうして栄冠をつかむための種は蒔いてきていた。その一つが自主練での意識改革だ。柳川は寮生活をしつつ練習でしっかりつくり上げていくことが強さの秘けつとなってきたが、この3年ほどはコロナ禍のためみんなで集まって練習することがままならない状況に。そこで本田監督は部員たちに「これまでのようにテーマを決めてみんなで練習するということができないのはどこの学校も一緒。だからこそ自主練が大切になる。自由な自主練ではなく、試合の準備のために何をどれだけやるのかを本人が明確に決めて短時間で取り組む。それは自分との戦いでもあり、柳川としてはそこをしっかりやっていこう」とハッパをかけていたのだ。

また部員たちにとって大きいのは、柳川卒業後に近畿大学に進み今年の4月から母校に教員として戻ってきたOBの薮田司がテニス部のコーチになったこと(近畿大学時代はダブルスで王座3位に貢献)。現3年生とは5歳差と年が近い薮田コーチは兄のような存在でもあり、父のような存在の本田監督(実際、2年生には本田監督の息子が在籍している)とはまた違った好影響、安心感を部員たちに与えている。

そして技術的な指導という点では、柳川OBでもある本村剛一、片山翔という2人のプロが外部コーチとして携わっていることも大きい。柳川というと、倒れるまで続く鬼の振り回しを行っていた、深夜2時まで練習していたという逸話があるが、それは創部初期のことで今となっては昔の話。現在は本村プロ、片山プロが生徒に惜しみなく最新技術を伝授している。

さらに柳川のコートサーフェスがグリーンセットという世界四大大会の全豪オープンと同じハードコートであることにも注目してほしい(以前はUSオープンと同じデコターフだった)。日本の高校生の大会は砂入り人工芝コートで行われることが多く、勝つことだけを考えれば学校の練習コートも砂入り人工芝のほうがいいのだが、砂入り人工芝で行われるATPツアー大会は皆無で、それだと世界に通用する選手を育てられない。そのためハードコートを採用しているのだが、現在、そのコートについても新たな進捗があるという。この話については〈柳川高校・変化を恐れない名門2〉に譲りたいと思う。

取材・文/高木希武(元テニスクラシック編集長)



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