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2023.09.12

選手情報

杉山愛・女子日本代表監督に聞く日本女子テニスの現状とこれから「100位以内に4〜5人を送り込むのが課しているミッション」

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杉山愛・女子日本代表監督インタビュー


今年のUSオープンはシングルス本戦のドローに日本女子の名前が載ることはなかった。これは1984年の全豪オープン以来のことである。厳しい現実を前に、杉山愛・女子国別対抗戦ビリー・ジーン・キング・カップ日本代表監督はどのように見ているのか、またこれからの日本女子テニスの強化、トップ100に入るために必要なことを聞いた。

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――今年最後のグランドスラムですが、日本人女子選手の活躍を振り返っていただけますでしょうか。

今年は100位以内に日本女子がいないところからのスタートでしたが、日比野選手が久しぶりに100位以内に返り咲いてくれたのはひとつ大きかったです。加えて、今回のUSオープンも予選に5人出ていて2人が決勝まで行けたというところは、(決勝で敗れたが)彼女たちにとっては大きなステップだったのでそこは良かったです。

しかし、現状としてはメインドローに誰もいない状態というのが、いつぶり?というぐらい(1984年全豪オープン以来)、私自身16年間グランドスラムに出ていたのであたりまえになってしまっていましたけれども、(本戦ドローに日本女子が)いなくなってしまうというのはとても寂しいですし、今というよりは過去を振り返ってこの4、5年のやり方だったり、何かちょっと違うことを加えないといけなかったなという反省点はあります。そこはしっかりと振り返りながら、どういう方向で日本テニス界を盛り上げる選手を作っていく、強化していくかを向き合っていかなければいけないのかな、というところですね。

――選手の皆さんが頑張っていなかったとか取り組んでいなかったということではないと思います。コロナの影響でアジアシリーズが無くなってしまったことや東京五輪開催が延びたことによる選手強化の影響もあったと想像しておりますが、その点についてはいかがでしょうか。

男子は上手くいっていますからそこを考えると女子も言い訳はできないと思いますし、私自身は(選手強化に携わることになって)今年からなので、すぐに成績が出るかと言えば少し時間はかかりますけれど、今回の収穫としては坂詰選手が今年から予選に出始めて、(予選決勝で)負けた選手が本戦の3回戦まで行っています。マッチポイントが5本あって取りきれなかったのは残念でしたけれども、テニスのレベルは本戦で戦えるものになってきているというのは彼女の中で収穫。私も携わったこの8ヵ月ぐらいで、一気に力をつけてきているという手応えはあります。

100位から200位の中に数人いる中でその選手を100位以内に送り込むことが、私自身のすべきことのプライオリティを上げていて、それが達成できれば、彼女たちより下への影響力というのが大きいと思う。一人でも飛び出していけば「私もできる!」という相乗効果にはつながっていくので、今170〜180位にいるこの選手たちがひとつ100位以内にいくというのが近いところの目標ですし、年内にでも達成していきたいなと思います。

――過去に10人ぐらいUSオープンに出ていた時代がありました。その時は『(私たちも)伊達公子さんに続いて!』という感じで上がってきた感じだと思いますが、100位に入る、本戦に入る、とそうではないところの『壁』みたいなものを言語化できますでしょうか。

今の方が(選手層が)厚いですから予選の選手もあるきっかけを得られれば十二分に本戦で勝っていける選手になります。昔はトップのプレーヤーがずば抜けていて、その層が年々厚くなっているということが言えると思うんですね。ただ、上のテニスがものすごいレベルになっているのか?というとそうではなくて、今の時代も10年前も20年前も変わらずトップはやっぱり「トップのテニス」。それに対抗できる数が増えているというのは感じますね。70位、80位の選手でも力がすごくあります。

ボールを打つクオリティやポイントの取り方で戦える選手はいるけれども、大事なところやプレッシャーのかかった時に力が出せる、高いクオリティを持続できる、そのようなことを年間通してやっていかないと成績は安定しないので、それが上(100位以内)と下の違いかなと思うんですよね。

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