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2024.12.18

選手情報

吉川真司・女子ナショナルヘッドコーチ「日本女子は何年かの間にいい時代が来る」。大坂なおみは「お母さんになって懐が深くなった」

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――日本人が海外勢に対抗できるヒントのようなものがありますか。

「それぞれ個性があります。ただ、全体のことを言えばやっぱり一つは『身体の強さ』ということが言えると思います。トップで戦っている選手は同じ土俵で戦っています。なので、その身体の土台が同じだからこそ、その上のテニスの技術の中身で勝負できている。これが本戦に上がっている4人の共通項かと思います。もちろんテニスの中身といった点で、我々のほうが優れている部分もあります。しかし、外国勢はパワーがあったり、より大柄な選手が動けるようにシャープになっている。それに引けを取らない、我々独自の素早さ、動き回れる力であったりもっと上に行くためにはもっとそこを鍛えていく重要性はあらためて感じているところです」

――吉川コーチから見た今後の女子テニスの流れはどうなっていくとお考えでしょうか。

「サーブがウィークポイントになる選手がいなくなり、サーブとフォアハンドを武器に攻撃をしてくる選手が増えてきています。より競争力と競技力が上がってきているので、先ほどの話と重なるようですが、同じ土俵に乗れば我々の方が緻密なテニスをします。そこを意識しながら、置いていかれないように同じステージ、同じ土俵で戦える状況を作るということは一つ絶対条件になります。より穴のない選手になっていかなければなりませんね」

――大坂選手が4月に開催されたBJK杯で日本代表としてプレーしてくれました。これは日本チームにとって大きいことだと思います。

「これは大きいことですね。彼女自身、心は日本人なところがいっぱいあるので、他の日本人選手と同じ感覚でチームにいますし、世界基準を常に見ている選手が同じ空間に居ることは大きいですね。海外を拠点にしているチームメイトがいることも刺激になりますし、何よりもグランドスラムを獲っている人ですからね。その人が同じチームにいれば、自然と刺激になりますよね」

「(大坂は)お母さんになって広く物事を見れるようになっているというか、より懐が深くなっている。やっぱり人生が変わった人、新たな人生を歩んでいる人の感性なのではないかと思っています。見えている世界が違ってきているようにも思えますし、より広い人生の視野を持っているという感じがします」

――吉川コーチはトップだけでなく、ジュニアの試合も見ていますね。

「16歳以下の女子日本代表監督も私がやっていて、低年齢から上まで見ることは結局つながっています。できれば女子のラインは1本化していきたいなと思っています。カテゴリー別ではなく、目指しているところはみんな一緒なんだと」


2024年11月に行われた16歳以下女子ビリージーンキングカップジュニアでは6位入賞。写真左から吉川監督、園部八奏(与野テニスクラブ)、沢代榎音(H.Y.S)、上方璃咲(野田学園高校)、森下亮太朗コーチ


――全米オープン会場では休む暇なく次々とコート間を歩き回って、常に選手を見ていたのが印象的でした。

「どこで選手の“きっかけ”が落ちているかわかりません。今はその仕事にいる以上、できる限り選手のために行動するというのが自分に求められている仕事であると考えています。今大会の成果と課題をしっかり受け取って次へ進んでいきたいです」

――世界基準を目指すために日本国内で練習すべきことや到達できるためにすべき条件などあれば教えてください。

「『今を勝つ』ということは大切ですが、テニスのスケールが小さくなってしまいます。勝たなければいけないということも理解できますが、グランドスラムに達していくということは、ひとつひとつのボールの質、身体の強さ、さらにこのレベルに来ると心の強さも求められます。それが小さい頃から足りているかどうかというのを常に確認しながらやっていく必要はあるのかと思います」

「心技体の土台があって、それぞれの駆け引き、個人が持っている特徴というものが生きてくるのではないかと私は見ています。日本国内だと勝たないといけない、ミスを減らしていかなければいけないと考えがちですが、果たしてその一球のレベルで将来このステージに行くには十分か?という疑問は立てられるものなのかなという感じはします」

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