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2024.11.29

選手情報

柴原瑛菜の躍進を間近で見た兄・瑞樹「トップ選手と戦えるような球の質、配球、フットワークが少しずつ追いついてきた」

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――トレーニングをしていくにあたって、他のスポーツやトップ選手がやっていることを参考にしたり、応用してみることはあるのでしょうか。

「私が所属しているジムは野球がメインなんですけど、その他にもアメフトやサッカー、柔道、スキーの選手が来ていたので、いろんなスポーツのいろんな動きを見て、そのトップ選手の動きを見ながら、瑛菜に落とし込んでいくことは多いですね。『このぐらいできないと辿り着けないんだよ』という。トップの人たちは当たり前にやっている訳だから、それができたら上に行けるわけではないけれど、できないと辿り着けない」

――一般的なジュニアにこの話を当てはめるとすると何か参考になることはありますか。

「まず身体のコントロールをしっかりとできることがベースにあって、それを応用していくという形かなと思っています。先に身体ができてくると勝てるようになってくるという考えで、トレーニングでいつも生徒に言っていることは『ブリッジ』ができるようになれと。妹は『あの選手はブリッジできるの?』と聞いてきて、190位ぐらいの選手にやらせてみたらパッとできちゃったんです。このぐらいランキングになれば、これぐらいのことはできないといけないんだなと思いました」

――シフィオンテク選手やナダル選手、錦織圭選手がテニスボールでリフティングをやっている動画を見たことがあります。ボールの「芯」を捕らえ続ける感覚が、身体でわかるみたいなことも能力の条件としてあるのでしょうか。

「面白いですね。それ(芯で捕らえる)の感覚を養えると少し近づけるのではないかと思いますね。シフィオンテク選手が何かを意識してやっているのだとしたら、その意識を素人の人が見つけられるのであれば近づけるかもしれません。ただリフティングをしてたら辿り着かないことだと思います」

――いろんな努力の結果、今年もパリ五輪に出場。柴原選手は日本代表として2種目に出場し、ミックスダブルスでは錦織選手と組みました。

「『自分は日本代表なんだ』と認識できるのが、オリンピックだと本人は言っていました。BJK(ビリー・ジーン・キング・カップ)も日本代表なんだけど、オリンピックはいろんな代表の選手もいて、ファミリーという言葉が正しいかどうかは分からないのですが、自分も国の代表として戦っているんだ、そのチームの結束みたいなものはすごく好きだと言っていました。あとは、錦織圭選手とダブルスが組める日が来るなんて思ってもみなかったと思います」

――齋藤咲良選手(富士薬品)のサポートも続けていらっしゃるとのことですが、去年のジュニアから一段階レベルアップした違う景色に移行しています。

「彼女の中でも不完全燃焼な部分はあったと思いますが、すごい良い経験だったのではないでしょうか。予選もストレートインできたわけですから。まだ17歳(取材時)なので、ここから経験を積んでできれば来年のこの時期には本戦補欠かストレートインできるぐらいランキングを上げていきたいところですね」

――彼女の可能性についてお話しいただけますでしょうか。

「咲良ちゃんに関しては、サーブの取り組み(2022年3月の南米遠征後)から始まって、今はサーブの動きやどうすれば力を発揮できるのかというのをだいぶ落とし込めたと思います。あとはいかに爆発的に使えるかというのが課題の一つです。最終的には瑛菜と一緒で、このツアーのトップで戦える身体をしっかり作っていってあげるためにウェイトトレーニングを少しずつ取り組んでいきたいと思っています」

――映像で見るとわかりにくいですが、シフォンテク選手も身体はがっちりしていますね。

「(身体は)デカいですよね。テレビで観ているのと実際みるのは全然違いますね。試合前に隣でアップしていたのですが、身体が違いましたね」

――攻め込まれにくいセカンドサーブは、「回転量」とか「速さ」などいろんな要素があると思いますが、ツアーを回る上で重要なポイントを教えてください。

「男子の方は何とも言えないのですが、シフィオンテク戦で言えばサーブを的確に散らしてきて、常にどっちに来るんだろう?と瑛菜は思わされていたのだろうと思います。それはデータにも出ていたのでそれがひとつ。スピードに関しては瑛菜の方が速かったと思いますが、コントロールというのはひとつの大事な要素だと思います」

「今の瑛菜や(齋藤)咲良ちゃんにやらせているのは、“どれだけボールに力を伝えられるか”ということ。自分の力を最大限伝えるために、こういう身体の使い方、動かし方、ボールへの入り方をというのをやっているのが今教えている子供たちです。その中に重さやスピードを作れているのではないかと思います」

「セカンドサーブに関しては、スピン量を大事にしていますね。それこそ体重をボールに乗せられるか、ボールを潰すという話に最終的になってくるのかなと思います。回転量が少ないとボールが浮いてしまうので。浮いてしまったらリターンで叩かれるので、ボールが地面に接着してもう一度跳ねるようなサーブが欲しいなといつも思います。あとは変化ですね。どれだけボールが着地してからの変化しているのが瑛菜のキックサーブを見ていると分かります。コースを隠すというのは難しいので、どれだけサーブでクオリティーの良いボールを出せるかということになります」



――来るコースが分かっていても打ち込まれないという条件なんですね。柴原コーチも理想とするサーブのモデルになる選手がいるのか、または個人の能力を引き出すようなイメージで取りんでいるのでしょうか。

「基本的には、選手に合った指導になります。例えば瑛菜に185センチ以上の身長の選手と同じサーブを打たせることはありません。もし、そういう選手が来た場合には『上から叩いていいよ』と言うこともあります。現在教えている17歳の選手は背が高いので『叩き込んでみようよ!』と1回やってみたらできたんです。それでもボールに力を伝えるための身体の動きはマスターしていかないといけないので、そこはぶらさずに理解しやすい感覚を一緒に探しながら取り組んでいます」

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