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2024.12.25

デイリートピックス

「大人が夢を語れ!」柳川高校復活のきっかけをつくった“絶校長先生”古賀賢校長・理事長。テニスでは「選抜から全米オープンジュニアチャンピオンを出す」

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――生徒や先生たちを巻き込んでステージを引き上げる力があるように思います。その源はどこからやってくるのでしょうか。

「私としては意識してやっているところではあります。(イギリス留学から)帰国した当時はパワーダウンをしていました。それは何故かというと、柳川高校は重たい感じのする昭和の時代の雰囲気があり、先生が生徒を押さえつけている感が強かった。『こんな教育で人って育つのかな?』と柳川高校を辞めてしまいたいと思っていたんです。教育問題で悩んでいる中、ペレストロイカとかグラスノスチなど、国を変えてしまうというのはどういうことなんだろう?と、ミハイル・ゴルバチョフ(ロシアの政治家)さんに会いたかったんです。そんな時、ゴルバチョフさんが『ノーベル平和賞』を受賞し訪日することになり、関係者の方のご配慮でお会いできることになりました」

「(実際に会ってみると)私の悩みなんてちっぽけなものでしたね。27歳の私が質問を用意していたのですが、あまりのオーラで握手した瞬間にすっ飛んでしまいました。質問は『ペレストロイカすごいですね』しか言えず、『そうですね』と言われたあとに『ペレストロイカというのは絶対にソビエト連邦の未来にとって必要なんだ。10年間はガタつくかもしれないけれど必要なんだ』と。握手した瞬間に体中に電流が流れるようにメチャメチャ元気を貰いました!あの時のことが忘れられなくて、『元気が無い人に元気を与えよう!』と思った瞬間で、転換期となった出来事です。握手をして『これで人って元気になれるんだ!』と思い、人と会った時は絶対握手をするようにしています」

「人って元気の無い時ってありますよね。生徒もインスタでDMを送ってきます。『校長先生、空いてる?』とかメッセージが来るんですね。そして生徒と会ったときには、私は絶対に握手をします。人は人から与えられたもので変わることができる!という風に思っているんです。たまに松岡(修造)くんとお食事をする機会があると彼のエネルギーを感じることができます。そして私がまた元気になる。人と会って充電するって、こういうことだなって。私はゴルバチョフさんからいただいたもの。そして松岡くんからいただいたものを人にどんどん与えていっていると思っています」


ゴルバチョフ氏(写真左)と古賀氏

――古賀校長は教育現場の視点からテニスを俯瞰してみている感じを受けました。

「『テニスx教育』という感じですね。世界に通じる選手を育成するというより、『教育のもたらすマインドへの大きさ』だと思っています。そのマインドセットを変えていくことが特に個人競技においては大切で、今回の全米オープンジュニアを見ても海外の選手との差はマインドだと感じています」

――話が少し前に戻りますが、『心技体』の『心』の部分の強化に関して、現場で教えているコーチの皆さんには今、一番何が必要だと思いますか?

「人は、自分が育てられた経験則に基づいて人を育てるものだと思います。ひと昔前は『練習中は水を飲むな!』と言われたり、『殴って殴られて人は育つ』と言われ、みんな苦しい練習に耐えて耐えて、心を鍛えると信じていました。日本は独特の魔法にかかっていたんです。でも最近は子供たちがジュニア時代から海外を経験することが増えてきて、だんだんと世界が視野に入ってきました。指導する大人たちのマインドチェンジが必要な時代になってきてるんです」

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写真=本人提供