苦難の連続だったクラブ再開のプロセスサマーキャンプは現在、40人の定員でキャンセル待ちの状態。例年であればまだ人数を増やせるらしいが、安全性を重要視し、人数制限している。ここまで順調に運営しているように見えるが、稲川宏美氏によるとテニスクラブ再開のプロセスは苦難の連続だったという。ニューヨーク州の基準がスポーツジムとは異なり、テニスに関しての理解がなかなか得られないことやコーチングスタッフのZoomミーティングでの意見の相違、USTA(全米テニス協会)のパンデミックについての厳しいガイドラインなどが、クラブ運営をより難しいものにした。また、コーチの人事等にも携わっている稲川剛氏によると、20年以上勤めているコーチがコロナの影響で一日中、室内での仕事をすることに抵抗を感じ、悩んでいるケースもあるということを教えていただいた。現場のコーチも日々大勢の生徒を相手にすることに関し、聞かなければ分からないところで各々、違う感覚を持っている印象だった。テニス再開当時(5月)、USTAは1面おきに空ければ、シングルスのみプレーできるという許可がでた。クラブとしてはテニスコートが使えるという喜びもあったが、経営的には採算は取れない。それでも一歩踏み出したところ、個人レッスンを待ち望んだ生徒から申し込みが殺到。数週間後には、ダブルスもプレー可能になったが、複数人でボールを触れてはいけない(USTAは感染者がボールに触るとウイルスがボールに付着するリスクがあるとしている)ため、自分のサーブゲーム用に各々がボールを持参。ゲーム終了ごとにサーバーの人のボールを替えるということも規則を軽んじることなく守ってきた。それだけクラブ内で感染者が出ないように、神経質なほど気を遣い、この数ヵ月運営を行ってきたのだ。「USTAのガイドラインを守りリスペクトする」をクラブの指針としたことは、リスク回避の上で必要不可欠なこと。それでも、厳密に履行していくには、あまりにもストレスは大きいことがわかるだろう。
消毒に関するものは敷地内の至る所に置いてある日本のテニスクラブではおそらくないかと思うが、USTAのガイドラインの一つに生徒がボールを拾わない(球出し練習で打った複数のボール)という特徴がある。これもクラスターを防ぐ為に考えられたひとつのアイデア。ボール拾いが「世界で一番つまらない練習」とすれば、これほどジュニアにとって堂々とボールを拾わない時間は、効率が悪いようにも思える。しかし、その時間で普段にはない会話もある効果も否めない。
堂々と休める時間
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