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2018.06.22

メーカーズボイス

ルキシロンの秘密を探る。 ルキシロン社長・開発責任者をインタビュー

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勝利のために戦うツアーの世界だからこそ、選手は忖度なくルキシロンを選ぶ!

約7割。その数字がすべてを物語っている。勝利のために戦うツアーの世界だからこそ、選手は忖度なんてことはしない。実にストリング使用率7割、選手から圧倒的な支持を得ているのが「ルキシロン」である。 5月末、ひさびさの来日を果たしたルキシロン社長のニコ・マルデレン氏とプロジェクト・イノベーション・マネージャーのセアリー・ベイルティアンス氏。彼らはクローズド・イベント「ルキシロン・サミット」に参加。その際に伺ったインタビューを紹介していこう。





――ルキシロンは、1959年の創業当時、ミシン糸を作っていたそうですね。
マルデレン氏: そうですね。1959年にミシン糸の販売からスタートしました。その後、工場を開設してからは、刺繍などソーイング用ナイロン糸を生産していました。その後、医療用の縫合糸なども作っていますが、いずれにせよ“上質なナイロン糸”を作っていると自負しています。その思いを込めて「ラグジュアリー(LUXURY)なナイロン(NYLON)」という言葉から『ルキシロン(LUXILON)』というブランドネームを名付けました。





――ラグジュアリー・ナイロンからルキシロンに。1984年に初のテニス・ストリングをリリースし、91年に「ビッグバンガー(現オリジナル)」を、94年に「アルパワー」...など続々と開発をしてきました。製品を見る中にも、「ラグジュアリー」(贅沢品、高級品)という想いを感じさせますね。
ベイルティアンス氏: そうですね。製品はもちろん、パッケージなどでも「ラグジュアリー」ということは意識していますね。

マルデレン氏: それだけではなく「ハイテク」、「ハイクオリティー」というものも表現したいポイントです。

――創業から約60年、今やツアープレイヤーの多くが、ルキシロンのストリングを使っています。選手たちにとって、メリットはどんなものなのでしょうか?
ベイルティアンス氏: それは、選手たちにとって素晴らしいストリングを作ることができているから。求めるストリングを提供しつづけられているということは喜びです。それは、ハイクオリティーなものを、常に一貫して作り続けられているということだと思います。ストリングを張り替えても、常に同じフィーリングで打てるということは、本当に大事なことなんです。





――上質であることはもちろんですが、いつも一貫した品質であるということは、選手にとって安心感になるわけですね。
ベイルティアンス氏: 加えて、ルキシロンにはパフォーマンスの高いストリングが数多く出しています。アルパワーだけでなく、4G、エレメント...など、それだけ選択肢があるということも選手にとって魅力になっていると思います。

――仕事柄、多くの選手に会う機会があるかと思います。その中で、No.1といったら誰でしょうか?
 マルデレン氏: 話は20年ほど前にさかのぼりますが、私は、グーガ(グスタボ・クエルテン)が一番のお気に入りですね。ルキシロンにとって、初の契約選手ということもありますが、カリスマ性がありますし、人間性も魅力も抜群です。現役選手ならフェデラー選手や錦織選手も同じです。カリスマ性もありますし、とてもフレンドリーで人間性も素晴らしいですね。





――なるほどグーガですか。契約したのが96年末のこと、そして97年に全仏初優勝。そこから長らくの関係ですよね。
マルデレン氏: 今も、当時と変わらずカリスマ性もありますし、依然として素晴らしい。彼は愛される性格です。初めて会った17歳の時と今も変わってないなと思います。グーガは今、ブラジルでスクールもやっているんですが、どんな人に対しても親切でフランクで、変わってないなと思いますよ。

マルデレン氏: 今、ツアーでは契約している選手、契約していない選手含めて7割くらいの選手がルキシロンを使ってくれています。その事実は、とても大事なことですが、もっと大事なことは、ルキシロンがプロのためだけのものではないということ。一般の方にとっても、メリットあるストリングです。だからこそ、ぜひ使ってほしいと思っています。





――ルキシロンを代表するストリングというと、やはりアルパワー、4G、エレメントになるかと思います。改めて、それぞれの特徴を教えていただけないでしょうか?
ベイルティアンス氏: まずアルパワーは名前のとおり、パワーが特徴ですね。加えてスピンがかかります。さまざまなショットを駆使し、多彩なテニスをする選手に使ってほしいストリングです。





――アルパワーは、他のストリングと一線を画す「シルバー」のカラーリングですね。
ベイルティアンス氏: 素材のアルミニウムからのインスピレーションもありますし、発売当時はまだポリは珍しいものだった。ナイロン主流でナチュラルカラーが多かったので、差別化ということもありました。今まで、継続できているということはうれしいことですね。





――続いては、「4G」をお願いします。
ベイルティアンス氏: ポリの第1世代では耐久性をフォーカスしていました。それが、第2世代でパワー&スピンを高め、第3世代では柔軟性を高めた。そして生まれた第4世代が4G、これはテンション維持性能を高めたものです。なおかつ、コントロール性能も上げることができました。攻撃的に打っていくタイプや、コントロール性を求める人にこそ使ってほしいストリングですね。







――そして、「エレメント」。最近、錦織選手が横糸にエレメント(縦はウイルソン・ナチュラル)を使用しはじめましたね。
マルデレン氏: いろいろとテストをしているのは知ってました。それと、復帰戦から使っていたことも。ただ、その段階では、試合でも使えるものかどうかを判断していませんでした。結果的に、準優勝したモンテカルロ・オープンから正式に使用となりましたね。

――錦織選手が使用したことで、日本ではエレメントへの注目度が高まっています。
ベイルティアンス氏: エレメントは、当初「若い世代、ジュニア層でも使えるポリストリング」というコンセプトでした。だからこそ、フィーリングにこだわって作りました。ただ、錦織選手が試合で使ったことによって、トップ選手でも、十分に使えるものであるということが証明できました。これまでのストリングは、トップ選手がまず使い、それを一般の人が使うと言う流れでしたが、その逆のことがエレメントで起きたわけです。これは、すごくおもしろいことだと思っています。

マルデレン氏: フィーリングのよさは、他のストリングと違うモノマルチ構造にあります。2つの素材を組み入れることで、あれのソフト性が実現できたのです。






――日本では、年々、ポリの使用率が年々上がってきています。今後は、どうなると予想していますか?
マルデレン氏: 率直に、市場はまだまだ伸びると見ています。そのためにも、まだポリを使っていないプレイヤーに対して、異なるポリを提供したいと考えています。

ベイルティアンス氏: こういうものが欲しいと言う一般消費者の声をしっかり聞いていきたいですね。声を常に聞いて実現することを目標に日々頑張っています。実は、第5世代のポリを今、考えているところなんですよ(笑)





――第5世代! どんなものなのですか?
ベイルティアンス氏: それは、ちょっとまだ言えないです(笑) でも、もうすぐ発表できます。

――そこを何とか!!(笑) 新しい素材ですか? ヒントをください!
ベイルティアンス氏: 困ったな(笑) ヒントは「新しい打球感」だね。今までにないフィーリングの打球感を開発しています。
――未知のフィーリングとは! ありがとうございます(笑)

――貴重なコメントをありがとうございました。それでは最後に日本のルキシロン・ファンにメッセージをお願いします。
マルデレン氏: 私自身、日本は大好きです。その日本の皆さんが、ルキシロンを使っていただけるということは、とてもハッピーなことです。これからも、ルキシロンをよろしくお願いいたします。今後も、私たちは日本の皆さんを重視して、商品開発を進めていきます。よろしくお願いします。

ベイルティアンス氏: 私も日本のプレイヤーを、とても大事だと考えています。日本の方、プレイヤーの方の意見を聞いて、商品に反映できるように日々頑張っていきます。今後とも、ルキシロンのストリングをどうぞよろしくお願いいたします。

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