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2021.06.10

ジュニア選手

全仏Jr.帯同コーチが語る昨年大会の違いとコロナへの対応〔アジア通信特別編(1)〕

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全仏オープンジュニア女子ダブルスでベスト8に進出している長谷川愛依(写真左)とペアを組むバレンシア・シュー(アメリカ)

全仏オープンのジュニア部門で現在女子ダブルスベスト8に勝ち進んでいる長谷川愛依(名古屋LTC)。その帯同をはじめ、これまで数多くのトップジュニアとともに海外遠征をおこなってきた沢田昌昭氏。昨年は、新型コロナウイルスの陽性者が増加する中での開催となった全仏オープンだったが、今年はどのような運営がされ、昨年大会と比較して進展はあるのか教えてもらった。

【画像】全仏オープンジュニア女子ダブルスでベスト8入りした長谷川愛依



昨年とは大きく変わったパリの風景
大会もコロナに対応した動きに

今回、フランス・パリに入り、驚かされたことがあります。それは、夜間の外出規制(6月9日まで夜9時まで、現在は夜11時まで)はあるももの、カフェには人が溢れ、ショッピングを楽しむ人々の生き生きした姿が見られたことです。

昨年の全仏オープンが開催された時期の9月~10月のパリは、カフェは閉鎖。街の通りには人がたまに歩いているぐらいで時が止まっていたようでした。あれから8ヵ月が経ち、今のパリはとても元気で、人々はおおらかさを取り戻していることを強く感じたのです。
 

昨年から約8ヵ月が経ち、パリのカフェに人が集まっている

そんな姿を横目に、我々は戦いの場となるローラン・ギャロスへやってきました。もちろん、そのローラン・ギャロスへ行くにも昨年と同様にPCR検査があります。流れとしては、空港からオフィシャルホテルに行き、そしてPCR検査を受け、陰性であれば翌日から練習会場に行けるというもの。しかし、昨年と大きく異なるのが、ワクチン接種を終えていればPCR検査が免除される点です。聞いたところによると、プレーヤーだけでなくコーチも、全体の3割程度がすでにワクチン接種を完了しているようです。


検査を受けると黄色いバンドを手首に巻かれるのは昨年と変わらず
 

会場へ着いたらプロフィール写真の撮影などが行われた

昨年の9月にITFツアーが再開され、そこからテニスの国際大会は様々な対応を施策し、グランドスラム大会を復活させました。このワクチンについても、ものすごいスピードで接種と推奨が進み、ワクチンパスポートの制度が生まれようとしています。
 
そのため、昨年はオフィシャルホテルと練習会場、本会場のみを行き来する完全隔離でしたが、今年はホテルから毎日1時間までの外出許可が下りました。大会関係者に聞くと、「選手達は感染対策やコロナの危険性を十分理解している」という考え方だそうです。大会側から「ずっと部屋にいろ」「24時間監視をする」とも言われていた昨年と比べると大きな進展があったと言えるでしょう。

実際、我々は毎週のようにPCR検査を受け、ヘルスチェックをしており、それらも含めて、新しい考え方に移行した大会であるとも感じました。そして会場には、大会期間中におよそ12万人の観客が訪れるそうで、実際に家族連れやカップルなど多くの観客でにぎわっていました。昨年の寒い時期かつ1000人に制限されていたころの雰囲気とは違っています。
 
今の日本では考えにくいだろう事柄が、このフランス・パリではどんどん目の前で実践され、新しい考え方、これから必要な方向性に向かっていることを感じています。グランドスラムのような、ビッグスポーツイベントが世界へ発信するメッセージは大きく、我々参加メンバーが、その一部を担っていると考えると、しっかり戦わなければという気持ちにさせられました。


シングルスでは初戦で敗れたものの、ダブルスではベスト8に進んでいる長谷川愛依


文・写真:沢田昌昭
「Team Macy Project」(タイ・日本代表)。98年にバンコクでMMT(MacyTennisTeam)を設立し、ジュニアの育成とITFに特化した活動を続け、14年にはジュニア育成の新しい独自のビジョンを求め「MaSea Academy=スポーツと教育の共存」をスタート。ITFジュニアは、ツアーコーチとして今年で21年目。これまで多くの日本人ジュニアの遠征を担当してきた。現在はITFプロとジュニアのツアーをサポートする「Team Macy Project」を主宰。タイ、ミャンマー、ネパールのデ杯やナショナルチームのスタッフ、コーチも務め、幅の広い経験を生かし選手育成に情熱を注いでいる。

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