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2021.08.27

選手情報

東京パラリンピック車いすテニス代表・荒井大輔選手インタビュー 大会直前の父の死を乗り越えて初出場のパラリンピックに挑む。最後まで諦めないプレーで見ている人に感動を与えたい

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中学生の時に軟式テニスを始め、26歳から車いすテニスを始めた経歴を持つ荒井大輔選手(BNPパリバ/世界ランキング19位)。8月24日に開会式が行われ、本日27日から競技がスタートする東京パラリンピック車いすテニスの日本代表に初めて選出された(※荒井選手のシングルス1回戦は27日、有明テニスの森コート2の第3試合に予定)。どのようなきっかけで車いすテニスを始めたのか、また車いすテニスの見どころや東京パラリンピックへの意気込みなどについて、大会目前の荒井選手にインタビューした。


[プロフィール]東京都出身。1988年5月14日生まれ(33歳)。生まれつき先天性脛骨欠損の障がいを右足に持ち、2歳から義足での生活を送る。中学時代に軟式テニスを始め、中学、高専の部活動では部長を務める。福祉機器メーカーの営業マン時代に車いすテニスに出会う。練習は基本的に週5回、テニスを2時間、トレーニング1時間行うとのこと。2017年から海外転戦を開始。2019年には6つの大会でシングルス優勝。JWTA強化指定選手。世界ランキング最高17位(2019年12月9日付)。

【SNS・動画】荒井大輔選手をもっと知りたい人はこちらをチェック!



学生時代は義足で軟式テニスをプレー!
26歳から車いすテニスをスタート
「最初は手を動かすことに苦労した」

――まずは学生時代のことについて聞かせてください。幼少の頃から義足で生活されていた荒井選手は、中学・高校時代の部活動で軟式テニスをプレーされていたと思います。その時の経験で、今の選手生活に生きていることは何かありますか?
当時は、健常者の中に交じってプレーをしていました。テニスのスキルはもちろん、得意とするバックハンドは軟式テニスの動きをそのまま車いすテニスにも生かすことができています。また、中学・高校では部長を務め、その経験が人間関係を築くことにも生きていて、とても勉強になりました。

――部長にはどのように選ばれたのでしょうか?
高校では部員が少なくて自然と部長になりましたが、中学では部員の誰とでも仲がよかったから部長に選ばれた感じですね。レギュラーになって出場した大会でも活躍しましたが、みんなと仲がよかった部分が大きかったと思います。



――高校を卒業されて、すぐに就職されたのですか?

いえ、高校卒業後に大学に編入して、卒業後オーストラリアにワーキングホリデイとして1年行ったりしていました。その後、帰国して25歳で就職。その翌年に車いすテニスを始めました。ちょっとアスリートらしかぬ経歴だと思います。

――車いすテニスを始めたきっかけを教えてください。
岐阜県で福祉機器メーカーの営業マンとして働いていた時に、今回の東京パラリンピック車いすテニスのクアードクラス(手に障がいのあるクラス)で出場される諸石(光照)さん(EYストラテジー・アンド・コンサルティング)に仕事の関係で出会い、車いすテニスに誘われたのがきっかけでした。

――どうして車いすテニスを続けようと思ったのでしょうか?
正直に言うと、最初はやる気はなかったんです。やっぱり学生の時にやっていた軟式テニスをやりたかったんですよね(笑) 硬式テニスにも興味がなくて、ちょうど軟式テニスのクラブを探していたところ、たまたま諸石選手に声をかけられたのでやってみました。
車いすテニスを始めた頃は、もどかしかったですね。歩くことができるのに、車いすに座ってプレーすることで自分の動きに制限をかけることが…。歩けない人が車いすに乗って動けるようになる感覚というのはとてもわかりますが、動けるのに座ってプレーしなければいけないので、逆に動きづらいと感じました。重りをつけてやっているような感じでしたね。



――普段は車いすに乗らずに生活されているとのことですが、テニスをプレーする時だけ車いすに乗ると、操作を誤ったり慣れない部分があったりしませんか?
車いすテニスを始めてかなりの時間が経ちましたが、今でもたまに操作を間違えるんですよ、車いすをどっちに回転させるんだっけ? って(笑) 逆に回っちゃったとか、たまにあります。その点はチェアトレーニングなどをやりながら正しい動きを覚えていく感じですね。
強い選手はチェアワーク(車いすの操作)や左右どちらで回るかの判断が早くてスムーズです。回転する際に目を離すから常に前を向いているわけではないため、その間に逆をついたり、つかれたりして。そのあたりが車いすテニスの特徴でしょうか。

――慣れるまでに苦労したことは何ですか?
最初は、動こうとしても手を動かすことに慣れていないので、“ボールがきた”と思ったら、反射的に足を動かそうとしてしまうんです。足を動かしてもしょうがないのに、その場でバタバタしてしまったり(笑) 車いすテニスを始めた頃は軟式ボールと硬式ボールの違いにも苦労しましたが、ボールが飛んできた時に手を動かす、ということのほうが苦労しましたね。



――バックハンドが得意だというお話がありましたが、プレー面でのご自身の強みを教えてください。
一般的には難しいと言われていますが、バックの高い打点で叩くのが得意で、難しい感覚はなく、うまく叩ける自信はあります。健常者がプレーするテニスと一緒で、車いすテニスでもバックのラリーになることが多いので、バックでしっかりラリーをして、甘くなったところをフォアで攻めるように心がけていますね。

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取材・写真=長浜功明

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