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2021.09.04

選手情報

18歳アルカラス、第3シードのチチパスを相手に大番狂わせを起こす[USオープン]

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18歳アルカラスがグランドスラムベスト16に!

何年か経った時、2021年のUSオープンはニュージェネレーションが現れた大会として認識されているかもしれない。

今大会、男子で注目されているのは、18歳のカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランク55位)。今シーズン、予選を勝ち抜いて全豪オープンでグランドスラム本戦デビューを飾って2回戦進出を果たすと、全仏オープンでは3回戦進出、ウィンブルドンは2回戦進出。そしてUSオープン5日目、第3シード、ステファノス・チチパス(ギリシャ/同3位)との3回戦に挑んだ。

【動画】アルカラス対チチパス マッチハイライト


片やチチパスは、今最も調子の波に乗っている選手の一人。今年の全仏オープンでは初のグランドスラム決勝に進出し、今大会でも優勝候補の一人と目される選手である。そのチチパスは、試合前のインタビューでアルカラスを「絶えず向上し、ランキングを上げてきている。あらゆる面で良いプレーをしていると思う」と称えていた。

第1セット、アルカラスはロケットスタートを切って、チチパスから2ブレークを奪取。4-0とするのだ。第6ゲームでチチパスにブレークバックを許したアルカラスだったが、5-3で迎えたリターンゲームでまたもブレークして第1セットを奪取する。

アルカラスの強固なディフェンスに観客も引き込まれ、「バモス!カルロー」という掛け声がこだまする。その一方、その直後にメディカル・タイムアウトを取ったチチパスに対して、観客からはブーイングが巻き起こる。悪い意味で話題となっているトイレットブレークの一件で、チチパスには勝手にダーティなイメージが付いてしまったようだ。

第2セット、1ブレークずつ奪い合って3オールで迎えた第7ゲーム、チチパスのプレッシャーもあってかコーナーを狙っていくアルカラスにミスが生まれて、チチパスがブレークに成功。そのリードを保って6-4でセットを取り返す。続く第3セットはタイブレークの末にアルカラスが7-6(2)で奪取する。ここで、チチパスがトイレットブレークに行く。それを見た観客たちは、一斉にブーイングを浴びせる。それを追うようにアルカラスもトイレットブレークへ。すると、ブーイングは応援の声に変わる。チチパスの父親は携帯で息子にコーチングをした疑いが報道されたこともあって、手を前に置いて携帯に触らず。またチチパスも3分程度でコートに戻ってきた。そして第4セットは、チチパスがリズムに乗り、アルカラスの3つのサービスゲームをすべてブレーク。6-0で奪って勝負を第5セットに持ち込む。

もちろん会場のボルテージは最高潮だ。互いにミスが減り、着実にキープを続けていく。なんとブレークポイントは、第6ゲームでチチパスが握った1ポイントのみ。非常に締まった展開で、タイブレークに突入する。

割れんばかりの歓声の中でスタートしたタイブレーク。まず1-2でアルカラスが先にミニブレークに成功。さらにもう1本ミニブレークに成功して6-3とマッチポイントを握る。しかし、チチパスも簡単には勝たせてくれない。6-3で迎えたアルカラスのサーブは2本ともチチパスがミニブレークを奪ってアルカラスの6-5で、チチパスサーブとなる。セカンドサーブはラリーに、その中で、試すかのようにチチパスがムーンボールをセンターに放つ。これに対してアルカラスは、フォアハンドで躊躇なく逆クロスに強打。これがウィナーとなるとアルカラスはコートに倒れ込み、歓喜した。

約10分間に及ぶタイブレークは、アリーナ内は地鳴りかと思うほどの音に包まれた。パンデミック以降、観客を入れて催行された最も大きなイベントと言ってもいいUSオープン。その歓声は、チチパスとアルカラス、2人が巻き起こした化学反応だった。




勝利の瞬間、コートに倒れ込み喜びを噛み締めたアルカラス

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