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2022.12.28

選手情報

[追悼]ニック・ボロテリー氏に愛された日本人コーチが語る偉大なコーチの本当の姿<後編>「眼、言葉、タイミング、愛情で選手に力を与えている」

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写真:本人提供

ボロテリーを17年間見てきた山中夏雄氏が語る本当の姿

2022年12月5日、91歳の生涯終えたニック・ボロテリー氏。全寮制のテニスアカデミーを初めて導入し、多くのスターを育てるなどテニス界への功績は語り尽くせない。今回は、世界中のテニス選手やファンを魅了し続けてきたボロテリー氏と親交も深かったIMGアカデミーコーチの山中夏雄氏(盛田正明テニスファンド専属コーチ/ヨネックスアドバイザー)のインタビューを前後編に分けて紹介したい。

【動画】IMGアカデミーが創設者ボロテリー氏の追悼動画を公開

テニスはまったくの素人。軍人からテニスコーチへと転身し、1978年にニック・ボロテリー・テニスアカデミー(現IMGアカデミー)を設立したボロテリー氏。ジュニア時代から携わってトップになった選手は数知れず、アンドレ・アガシやボリス・ベッカー、ジム・クーリエ、マリア・シャラポワ、モニカ・セレシュ、ビーナス&セリーナのウイリアムズ姉妹など、10人の世界ランク1位を育成。2014年には、テニス界への多大なる貢献が称えられ、国際テニス殿堂入りを果たしている。

前編では、現在のIMGアカデミーの様子や世界ランク1位を10人育てたボロテリー氏のコーチとして秀でている点、卒業生である西岡良仁(ミキハウス)、望月慎太郎(IMG Academy)に与えた影響について述べている。後編では、錦織へのアドバイスや山中氏から見たボロテリー氏の姿について話してもらった。

――錦織圭選手については何かアドバイスはあったのでしょうか?

山中「圭に関しては、(西岡とは)反対に彼のフォアハンドを変えようとしたんですね。当時のスタッフからは『ニックさんの前だけ変えておけばいいから』ということもありましたけれど、それ以降は圭にアドバイスを自らするということはなかったです。彼の意思を尊重し、たまに会うことがあればニックが圭の顔を両手で挟んで、目を見て『君はいけるぞ!』と勇気づける言葉をたくさんかけていました。

ニック自身は、テニスができる人ではないのですが、それでも世界のナンバーワンを育てていく形というのを見られたことは僕にとって財産でした。眼、言葉、タイミング、愛情。いろんなものがあって、選手に力を与えている。もちろん周りのスタッフの力があってこそですけれども」

――ボロテリーさんがコーチやスタッフに愛される理由はどこにあったのでしょうか?

山中「望月や西岡が活躍した時、周囲に『ナツオ(山中)がコーチで、ナツオがグレイトジョブだ』とみんなに言うんですよ。(ニックは)自分が自分が、ということは絶対にしない。僕だけに限らず、スタッフやコーチのことも他の方に説明する時には、必ずスタッフの仕事を立てるように伝えていました。これはなかなかできることではないと思います」

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