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2022.12.28

選手情報

16歳小田凱人、プロ転向や史上最年少での年間王者など激動の1年を振り返る「『もっとできたな』というのが正直ある」[前編]

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―楽天オープンでは、国枝選手にあと2ポイントというところから敗戦(3-6、6-2、6[3]-7)。悔しい思いがありながらも会見やセレモニーは気丈に振る舞っていましたね。今後どのように繋げられる試合でしたか?

「試合直後は、負けたのにもかかわらずなぜか達成感がありました。7000人ぐらいの人が入っていたと聞いたんですけど、その観客の中であれだけのプレーをできたのは、良かったと思っています。ただ、今思い返すとあそこで勝っていたらとよく考えてしまいますし、何度も試合を見返してもいます。簡単に『ああいう試合ができて良かったです』とは言えないのは正直なところですし、あの試合をものにしていたら今はもっと高い位置にいけたはずだと思うところはあります。ただ、次につながる良い大会でしたし、負けたからこそ得られたこともありました。

国枝選手との試合では、ゾーンに入って自分のやりたいことを何でもできて、相手のコースが全部わかってという状態の中でプレーできましたけど、自分がリードしてからは一気にタイブレークに持ち込まれ、少しでも気を抜いてしまえば、流れが一気に相手に渡ってしまうということをあの敗戦から痛感しました。メンタルを乱さずにやり切ることが大事だということをあの敗戦から学んだのですが、それがマスターズの決勝や準決勝で生きてくれましたし、だからこそアルフィーにストレートで勝つことができたのではないかと思います。そう考えたら、あの敗戦は、良かったと言えば良かったし、勝っていたら得られていない感覚だったなと思うので、そこはプラスに捉えるしかないですね」

「楽天ジャパン・オープン」で王者・国枝慎吾にあと2ポイントというところで惜敗(写真:田沼武男)

―楽天オープンの雰囲気は他の大会とは違うものがあったと思います。感情的にはあまり変わらず試合に集中できましたか?

「あの場だったからこそ出たプレー、粘りだったりというのはあります。逆にあの環境でなければストレートで負けていたと思います。ファイナルセットであれだけ粘れたというのも今まで感じたことのない歓声だったり、拍手の量だったりというのがあったおかげで、とても勇気づけられました。『まだまだこんなところで終わってはダメだ』と思ったんです。そこは本当にあの日応援してくれていた観客の声援のおかげだと思っています。あと、前日にダブルスであのコートで試合ができたのも良かったかなと思っていて、いい条件がすべて整った試合だった。そういうところからああいうプレーが生まれるんだなと試合が終わって感じています」

―トップ選手同士の戦いでは油断や隙が一気に持っていかれてしまうと。その面で心の成長は感じていますか?

「そうですね、最初に取材していただいた13歳の時と比べれば少しは成長したのかなと思いますね(笑) ただ、自分の根本的な思いだったり、変わっているところはないです。ウィナーでポイントを取るという自分のやりたいテニスは、その頃からブレていなくて、そこは自分のモットーにしている。

テニス自体は力がついてきて、海外選手に通用するようになりましたけど、プレースタイルや試合前のメンタリティというのはさほど変わっていない。変わったところでは、勝利を重ねたことで、良い流れの持っていきかたというのを得られて、勝ち方というのを少しずつ覚えてきたのかな。もちろんテニス自体も上達していると思いますけど、それ以上に試合の中での成長というか、ウィナーの持っていきかたの力がついてきたのかなと思います」


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