2つの道を作った
「プロスタッフ バージョン13.0」
「#13代目の原点進化」、それが新プロスタッフのキーワードである。1983年に誕生したバージョン1.0が原点、そこに立ち返り、さらなる進化を遂げようということだ。今回、バージョン13.0に関して、2つの道を作った。
ロジャー・フェデラー(スイス)が使う「プロスタッフ RF97オートグラフ」に関しては、既に高い完成度を誇っている。だからこそ、小さな改良を加えることで、さらに完璧を求めた。それはバージョン10.0→バージョン11.0に移行した時と同じ。小さな改良によって、グランドスラム3冠(17全豪、17ウィンブルドン、18全豪)、マスターズ2冠、世界ランキングNo.1に返り咲くという大成功を収めた。<小さな改良が大きな成功をもたらす>、2021年、フェデラーが描く目標は2017年の再来である。
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そして、今回は、もう一つの道「プロスタッフ97」「プロスタッフ97L」「プロスタッフ97UL」「プロスタッフ26」「プロスタッフ25」の進化をご紹介していく。
そもそも今回のプロスタッフの開発にあたり、ウイルソンは日本を含む世界6都市でリサーチを行っている。
「プロスタッフについて求めるものは何か?」出てきた答えがこんなものだった。
■あの打球感を味わいたい
■プロスタッフ・ミッドのような心地よいフィーリングが欲しい
■衝撃吸収性能が欲しい
■もっと柔らかいフィーリングにしてほしい
■カウンターベイルの衝撃吸収性の高いフィーリングが良かった
■スイートエリアを外した時のブレない安定性能が欲しい
■L、ULでもプロスタッフの打球感が欲しい
■トップ寄りのスイートエリアでの安定性とパワーが欲しい
■もっと高いコントロール性能が欲しい
■ストリングがよく切れてしまうので改善してほしい
■ブレードなどのグリップの方が握り心地が良い
■塗装が剥がれないようにしてほしい
特に多かったのが、バージョン1.0(プロスタッフ・ミッド)の打球感、フィーリング、コントロール、パワーを求める声だった。バージョン1.0が多くのスタープレーヤーに愛されたことはご存知だろう。ジミー・コナーズ、クリス・エバート、ステファン・エドバーグ、ピート・サンプラス、ジム・クーリエ、シュテフィ・グラフ、ロジャー・フェデラー...歴代の世界ランクNo.1となった王者、女王たちに愛されたラケットだった。打ったことがある人ならばわかるが、このラケットは、特に、その最高のフィーリングが特徴のものだった。
ならば、現代にプロスタッフ・ミッドを再現させてみようとなるわけだが、バージョン1.0は85平方インチ、フレーム厚17mmでボックスフレームというもの。現在の97平方インチでフレーム厚は21.5mmだし、フレームの形状も50/50ジオメトリー(ボックス形状とラウンド形状を組み合わせたもの)でそれを再現するのは、当然簡単ではない。
バージョン1.0の良さを再現するために
生み出した「ブレード45」
ここで<テクノロジーのウイルソン>の本領発揮となる。シカゴ本社にあるウイルソン・ラボで試行錯誤が始まり、いくつものプロトタイプが作られてテストを行った。最も注力していたのは、カーボンの編み方である。特許技術「カーボン・マッピング・テクノロジー」は、カーボン繊維の編み方によって、様々な特徴を生み出すことができる技術。クラッシュでは、フリーフレックスと題して最高のしなり&最高のねじれ強度を再現、ブレードシリーズでは、クラッシュに次ぐ純しなりを実現しながら、縦しなりを加えることで、ブレードの新たな世界を見せた。
今回、プロスタッフ(フェデラーモデルを除く)に採用されたのは「ブレード45<BRAID 45>」である。45というのは、編み方の番号。従来の編み方とは異なる、細かな組み合わせによって実現したのは、プロスタッフ・ミッドのようなポケッティング・フィーリングとスタビリティー(安定性)である。これがどのように作用するのか? ウイルソンは「ブレス(呼吸)」という表現をしている。ボールを捕らえた際、左右に縮まり、縦に伸びる(いずれもラケットを立てた場合)。その作用の中で、ポケッティング・フィーリングとスタビリティーは生み出されるのだ。
コントロール性の向上、スイートエリアを外した際のフォローはどうするのか? 新たなストリングマッピングにしている。具体的には、全体的にトップよりにクロスのストリングホールをずらしているのだ。これにより、スイートエリアがトップ方向にずれているのだ。また、フィーリング面ではもう一つ、エンドキャップを「エルゴエンドキャップ」に変更している。従来のものより、角が削ったことで、よりフィーリングに優れたものになっているのだ。
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