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2020.12.01

デイリートピックス

NY便り「変化していくアメリカのテニスコーチ教育システム。コロナ禍で無料提供も」

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現場の問題に目を向けた教育システムで
アメリカのコーチの質を高める

いまだ世界中で広がっている新型コロナウイルス。アメリカでは、コロナの感染拡大の懸念の中、地域スポーツはサッカーやバスケットボールの対外試合の禁止、テニスも通常の練習でマスク着用を義務化するクラブも出てきている。

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そんな中、アメリカプロフェッショナルテニス協会(USPTA)は、2021年の会費を無料とするプログラムを発表した。
USTAとUSPTAは、互いに協力し、条件を満たしたコーチを対象に年会費$299(日本円で約3万1000円)を免除することで、経済的な支援を提供するとしている。

その条件というのは、下記である。
①アメリカに居住してテニスを教えていること
②現在、活動中の会員であること(2021年に受け付けできなかった会員は2022年に資格を受け取る事が可能)
③USPTAの教育システム(セミナーの参加やウェブでの教育単位の修得)を完了すること
④身元調査を含むUSTAセーフプレイトレーニングに合格すること
⑤誠意を持って新しい人々にテニスを紹介すること

この取り組みは、現場で教えるコーチ達の負担を軽減するとともに、各項目をクリアするためのコーチの資質を高めることにある。

実際に私自身、USPTAのコーチ資格を持っており、③の教育システムを受講した。
その内容は、驚くべきことにテニスの技術に関するものではない。生徒同士のいじめやアルコール、ドラックの問題に対し、どのように対処するのかというものから、コーチによる虐待や性的な交渉についての問題が主な内容。
教育システムでは、具体例をいくつか挙げており、時にインタビューも交え、徹底的に注意喚起を促し、小テストを行う。これに合格しなければ、次の画面に進まず、偏見等を含めたコーチの資質を問う内容で2時間近くかかった。

だが、これほど本格的な教育システムを提供されたことはなく、コーチ側からすると有益な情報かつ抑止力にもなるものだったと思う。


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文=知花泰三(全米プロテニス協会公認指導員資格保持者)

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