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2020.06.18

大会情報

NY便り「USオープンに欧州圏の選手は出場しない!?」

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いち早くUSオープン出場を表明したセリーナ・ウイリアムズ(アメリカ)

出場選手はどうなる? USTAの出場交渉は続く

「ハードコートで練習しているのをチェックしたのは、錦織選手だけだ」。アメリカ「Tennis.com」の中で、評論家のジミー・アリアス氏と発言した。さらに先日行われた、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)主催の「アドリアオープン」に代表されるようにレッドクレーで、多くの選手が練習していることに触れて“トップ選手がUSオープンを軽視しているのでは?”とコメントしている。
確かに、そういった動きはある。シモナ・ハレプ(ルーマニア)は、USオープン、そして直後のアジアシリーズへの欠場意思を表明。ヨーロッパ圏のみでプレーすることを表明しているし、アメリカへの渡航について不安を吐露する選手も少なくない。これらの動向については、USオープン側でも新トーナメント・ディレクター(元WTA責任者)が事前に、滞在規定への不満を調査して緩和を行ったということも一因としてあるだろう。

元々アメリカへの入国は、指定チャーター機のみで許されるとしていたが、その後、単独での入国が可能になった。帯同人数は3人に増えて、指定ホテル以外での滞在も許されるように変更となっている。今大会は男女シングルス各128選手、および男女&ミックスダブルスの参加ペアを限定しての開催。USTA(アメリカ協会)は、低ランキングの選手用に、$660万ドル(約7億円)というサポートを用意しているが、選手にとってはやはり不安が残る。セリーナ・ウイリアムズ(アメリカ)が、早々とUSオープン出場を宣言し、ニュースとなった裏には、選手へのけん制という狙いもあるはずだ。

ノバク・ジョコビッチ(セルビア)やラファエル・ナダル(スペイン)が大西洋を渡り、参加するのか? 誰もが注目するポイントであり、引き続き交渉が続くものと見られている。

その一方で、うまく転がりつつあるのが全仏オープンである。

4月初旬、新型コロナウイルスによるパンデミックが広がり始めた時、フランス協会はいち早く9月末への延期を発表。一方的とも言われた決断は物議を醸したが、ATPマスターズ1000のマドリード大会、ローマ大会を前哨戦として組むことに成功した。ヨーロッパ圏の選手にとっては、大きな移動を回避できるし、うまく行けばポイントを稼ぐことができる。リスクを冒してUSオープンへという選手が少なくなるのは当然とも言える。その状況からして、予選も開催可能と見られるし、ジョコビッチやラファエル・ナダル(スペイン)というビッグネームもプレーし、さらに状況次第では観客席にファンを動員することができる。

言わばUSオープン対全仏オープンという縮図にもなっている現在、どちらの大会のどのトップ選手が出場するのかは興味深いところだ。予断を許さない状況ではあるものの、テニスができ、プロによる試合が催行できる世界になったことは喜ばしいこと。ファンとしては、暖かい目で見守りたいものである。

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