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2022.09.20

選手情報

〈フェデラーGS20勝プレイバック1〉ヒザから崩れ落ちた涙のグランドスラム初優勝/2003年ウィンブルドン [リバイバル記事]

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フェデラーが獲得したグランドスラム20勝(全豪オープン6回、全仏オープン1回、ウィンブルドン8回、全米オープン5回)を一つずつプレイバック(写真は2003年ウィンブルドン)

2003年ウィンブルドン
王者の歴史がここから始まった

今週末にイギリス・ロンドンで開催されるレーバーカップを最後に現役を引退すると発表したロジャー・フェデラー(スイス)。フェデラーがこれまで達成したグランドスラム優勝20回(全豪オープン6回、全仏オープン1回、ウィンブルドン8回、全米オープン5回)を、当時の写真とともに振り返る。

※『テニスクラシック・ブレーク』2009年11月号別冊付録に掲載したものを再編集した記事になります

【画像】2003年ウィンブルドンでGS初優勝を決めた瞬間やフェデラーの当時のプレー写真はこちら

2001年のウィンブルドン4回戦で、当時ウィンブルドン31連勝を続けていたピート・サンプラス(アメリカ)を破り、テニス界に衝撃を与えたフェデラー。しかし翌02年のウィンブルドンでは1回戦負けを喫するなど、好調不調の波が大きく「いつかグランドスラムで優勝する逸材」という評価を受けつつも、そのチャンスはなかなか訪れなかった。

しかし03年のウィンブルドン。その前に行われた全仏オープンでは1回戦負けといいところがなかったが、気持ちを切り替えて臨んだ前哨戦ハレ大会では優勝。波に乗ったままロンドン入りしたフェデラーは、持ち前のリラックスした流れるようなフォームから切れ味鋭いショットを放って順調に勝ち進み、4回戦で左利きのビッグサーバー、フェリシアーノ・ロペス(スペイン)と対戦。このロペス戦も問題なくクリアすると思われたが、試合前のウォーミングアップで突然背中の痛みに襲われる。まったく力が出せない状態で試合に臨んだが、それでも何とかロペスを下すと、徐々に痛みが回復してきた準々決勝ではチャン・シャルケン(フランス)にストレート勝ち。アンフォースドエラーがわずか8本という、非常に集中した試合内容だった。

そして準決勝では、アメリカ期待の星アンディ・ロディックと激突。名コーチ、ブラッド・ギルバートのサポートを受けていたロディックは、これまでにないスマートな試合展開でここまで10連勝中と絶好調。“世界最強”と言われるサーブも冴え渡っていた。しかしフェデラーは、そのサーブをいとも簡単にリターンし、リターンエースが面白いほどに決まり始める。そうしてプレッシャーをかけると、この試合もストレートで勝利し決勝進出を決めた。

こうして迎えた決勝戦。相手は、準決勝でセバスチャン・グロージャン(フランス)をストレートで下した“スカッド”の異名を持つ、サーブとフォアが武器のマーク・フィリポウシス(オーストラリア)。しかしフェデラーは、フィリポウシスの強打をものともせず、ほぼ思いどおりに試合を支配。ロディック戦のときよりもさらに強さを見せつけ、3回目のマッチポイントで、フェデラーのセカンドサーブをリターンしたフィリポウシスのボールがネットし、ゲームセット。ネットへ走り込んでいたフェデラーはヒザから崩れ落ち、両腕を突き上げて天を仰いだ。

表彰式、フェデラーは、念願のトロフィーを掲げながらとめどなくこぼれる涙をとめることができなかった。フェデラー本人だけでなくテニス界も待っていた、王者の歴史がここから始まる。

【2003年ウィンブルドン/フェデラーの試合結果】
決勝/対M.フィリポウシス(オーストラリア) 7-6(5) 6-2 7-6(3)
準決勝/対A.ロディック(アメリカ) 7-6(6) 6-3 6-3
準々決勝/対S.シャルケン(フランス) 6-3 6-4 6-4
4回戦/対F.ロペス(スペイン) 7-6(5) 6-4 6-4
3回戦/対M.フィッシュ(アメリカ) 6-3 6-1 4-6 6-1
2回戦/対S.クーベック(オーストリア) 7-5 6-1 6-1
1回戦/対H-T.リー(韓国) 6-3 6-3 7-6(2)

【次の記事】〈フェデラーGS20勝プレイバック2〉2つ目のグランドスラム・タイトルとともに初の世界ランキングNo.1も獲得!/2004年全豪オープン [リバイバル記事]



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写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma