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2023.09.08

選手情報

添田豪・男子日本代表監督、世界のトップで戦うため日本選手に欲しい要素「メンタル的な“体力”の強さが欲しい」

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添田豪・男子日本代表監督に聞く日本男子の現状と課題、そして錦織圭


今年最後のグランドスラムとなった現在開催中の「USオープン」。日本人男子では西岡良仁(ミキハウス/世界ランク44位)と自己最高ランキングを更新しトップ100入りを果たした綿貫陽介(フリー/同85位)が本戦ストレートインし、ダニエル太郎(エイブル/同95位)と島袋将(有沢製作所/同158位)が予選を突破した。計4人が登場した男子シングルスだが、残念ながら2回戦に進む選手は現れず。今年から男子国別対抗戦・デビスカップ日本代表監督を務める添田豪は、現状そしてこれからの日本男子をどのように見ているのか。また、今回は欠場となった元世界ランク4位の錦織圭(ユニクロ/同353位)について完全復帰へどのような考え方をしているのか選手目線で語ってもらった。

【画像】グランドスラム2023で熱戦を繰り広げた日本男子選手たちの厳選写真!

――添田さんが日本男子監督に就任し1年が経とうとしています。今年最後のグランドスラムとなりましたが振り返ってまとめていただけますでしょうか。

選手みんなが自分で思っていたより成長速度が速い。特に今年で言えば綿貫、島袋、西岡も今はちょっとランキングが落ちていますが、全豪とき全仏で4回戦進出とランキングも20位台に入り、もっと時間がかかると思っていた目標を私が考えていたより今年は予想以上でちょっと驚いています。

――当初100位以内に何人が入り、グランドスラム本戦ストレートインというのが目標だったと思います。ウィンブルドンでは5人、そして今大会は4人となりました。
 
本戦は(全員が1回戦敗退と)残念でしたが、ダニエル(太郎)にしても(島袋)将にしてもちゃんと予選を勝ち上がってきている。将に関してはシングルスの本戦の経験がまだないので少し飲み込まれてしまうことがあり、H.ガストン(フランス)戦ではちょっと経験不足が見えてしまいましたが、こういう舞台をどんどん重ねていけば彼ももっと実力を活かして本戦1、2回戦は勝てると思います。太郎、綿貫、西岡も今回は残念でしたが彼らも本戦に出て勝つのが当たり前になってきていて、その辺の意識が変わっているだけでもレベルアップしているのではないでしょうか。




――これから1年の目標など教えてください。

個人的な目標としては、1年に1人が新たに100位に入ってくれたらいいですね。今年、綿貫が入ってくれて来年は誰?となった時に今の状況だと島袋、望月、彼らが次の100位以内を狙えるということでもう少しサポートしてあげたいと思うし、今いるトップの選手たちは自分達の目標をもう一段階上げることで来年はキャリアハイを目指して欲しいです。その中で僕はデ杯の監督なので勝つことを最優先にしていますが、個々のランキングを上げてもらえればと思います。

――視点を外に向けて見ると近年イタリア勢の台頭などが挙げられますが新しい勢力や世界的な流れに関して若手が多く出てきているように思います。

イタリアやスペインは、地理的に毎週のように(ツアー下部の)フューチャーズやチャレンジャーがあるのでジュニアがプロに移行しやすいという意味では「強化」というより、自然と環境的に強くなっていくというところに身を置いているのが強くなっていく要因なのかなと思います。日本の場合は地理的な問題もあり、そううまくいかないと思うので彼らよりももっと時間をかけて強化というのをしていかねければいけない。体も作らないといけないし、遠征に行くストレスにも耐えなければいけない、’そういう意味ではもちろん時間はかかるが、じっくり育てていきながら100位に入ることをしていければと思います。

――日本のジュニアは上位に行けるような選手もいます。ですが、そこからプロということになると活躍が保証できる世界ではなく、添田監督もグランドスラムの本戦で戦ってきた体験を踏まえ、ここを抑えておかなければというポイントがあるのでしょうか。

ベースは5セットを戦わないといけない「体力」です。とは言っても「体力」にはいろんな種類がありメンタル的な体力だったり、常にモチベーションを持続できるかという体力もあります。その点で今の日本人はもう少し持続できるようになって欲しいなと思います。もちろん筋力的なものや持久的なものは強化でやっていけば強くなると思いますが、メンタル的な部分に関してはもっと自分たちで工夫してくると強くなれるので特に若い世代は早めに知っておくことが大事かと思います。

――それに関してもう少しお話しいただけますでしょうか。日本人だからこそ良いところだったり、少し引け目を持っているところの差なのか、それとも勝ち切るようなメンタリティと言うことでしょうか。

試合には正解というのは難しいのですが、遠征という全体で考えたら遠征疲れによって次の試合にパフォーマンスが発揮できないというのがあります。一方、外国の選手を見ていると試合期間中もオープンなマインドで楽しんで、リラックスしています。調子が上向きでなくとも楽しんでいるのは、(自己管理が)うまいなと思います。日本人は真面目で落ち込みやすかったり、私にも経験はありますが試合で負けが込んでくるとストレスが溜まったり疲れたりする。それを耐えれていれば、絶対にどこかでチャンスが出てくると思います。マイナスになったり引きずっていたりするとチャンスを活かせなくなるのでその辺りの「強さ」を持って欲しいと思います。


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写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma