close

2023.09.08

選手情報

添田豪・男子日本代表監督、世界のトップで戦うため日本選手に欲しい要素「メンタル的な“体力”の強さが欲しい」

  • 著者をフォローする
  • 記事を保存

SHARE

  • 著者をフォローする
  • 記事を保存



――錦織選手が活躍する前から日本の男子テニスを選手として支え、そして共に日本のテニスの底上げを実現しました。その時代を経て監督となった今、選手を引き上げていく力をお持ちになっているように思いますがいかがでしょうか。

私の場合、コーチとは違うので選手それぞれのチームがいてそこに加わって話をしたりするぐらいなのですが、選手一人一人良い状態の時もそうでない時もあります。良い時というのはモチベーションも上がるのですが、落ち込んでいる選手がいると楽しませてみたり、いろんな話をして盛り上げたりしています。解決策というのは見つからないこともあり、自分自身も勉強中というところでもあります。

――添田さんが監督を自ら志願したことは日本男子チームのカラーもあるかと思います。先ほどの練習コートでチームの皆さんと写真を撮られていたような和やかな雰囲気のイメージがあります。

監督という立場だとどうしても歳が離れて選手も話しかけ難いこともあるかもしれませんが、私は選手と年齢が近いこともあり、試合を観ていても選手が入ってきやすいところはあると思います。自然とみんなで応援する雰囲気もあり、特にグランドスラムでは一試合一試合の気持ちが他の大会とは違うので、応援して勝たせるというのを選手一人一人も感じていて応援されれば力を発揮できるのを分かっています。もちろん(選手同士は)ライバルでもありますが、頑張っている選手を応援したいという想いを共通して持っているところがチームの強みでもあり、仲の良さにつながっていると思います。




――世界のトップに目を向けてみるとアルカラスやジョコビッチがいて、コートを三次元に使いドロップショットや追い込まれてからのパスの精度、昔は決まっていたショットも今はエースにならないという展開です。今大会では追い込まれた側の高いロブからグランドスマッシュという展開も増えたように思います。これを年間を通して動き続けるのはかなり過酷だと思いますが、これがツアーの通常となると今後どう対応していくのか教えてください。

試合の期間でトレーニングをしていくというのは難しいのかもしれません。今の時代は私の現役の時よりも情報もありデータも取れているので、ただトレーニングするだけではなく本当に効率の良いトレーニングにシフトしています。トレーナーも写真やデータを見ながらフットワークにしてもひとつひとつ丁寧にやっています。走り回ると人間はどうしても疲れてしまうので体の使い方やエネルギーを効率よく使える動き方、パワーを出すにもただウェイトトレーニングをするだけではなく、もっとテニスの動きに近づけた科学的なトレーニング、最先端の練習やトレーニングを取り入れていかなければいけません。
   
――そのままでありたいところと変化を取り入れていくことでプレーが崩れないかという不安もありながらチャレンジされていると思います。

西岡や太郎に関しては年齢的にもピークなので、変えるというのは難しいのかもしれないですが、綿貫、島袋、望月に関しては変化を加えても伸び代はまだまだあります。今ある現状ではなく、もっと練習やトレーニングを変化させていけば長い目で見るとプラスになり勝ちにつながると思います。コーチも選手もその辺をもっと研究していかないと、アルカラスやジョコビッチには追いつくのは難しいですね。
  
――(運動量の多い)テニスの進化には驚くばかりです。

彼ら(アルカラス、ジョコビッチ)は、(大会序盤の戦いにおいて)まだ100%でやっていません。6割〜7割の力で1〜3回戦を勝っていきます。他の選手は1回1回を100%で戦うので決勝のことなど考えていないし、考えられない。元々の実力がある分、彼らは力を温存しながら決勝までを見据えトーナメントを戦っています。




無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma