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2020.09.13

大会情報

26年ぶりの決勝逆転勝利! 大坂なおみUS2度目の優勝!!

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(c)Simon Bruty/USTA

大坂なおみ(日清食品/第4シード)
1-6 6-3 6-3
ビクトール・アザレンカ(ベラルーシ)

USオープン(全米)大会13日目、女子シングルス決勝が行われ、第4シードの大坂なおみ(日清食品)が、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)にセットカウント2-1で勝利。2018年大会以来となる2年ぶり2度目、グランドスラム通算3度目の優勝を果たした。



両者の対戦は3度。大坂がクレーコートで2勝、アザレンカが2016年全豪オープンで勝利している。記憶に新しいのは先々週のウェスタン&サザンオープン、決勝で戦う予定だったが、大阪の棄権により実現していない。
ご存じの通り、大坂は2018年同大会でキャリア初となるグランドスラム優勝を果たしており、アザレンカは2012年、13年で決勝に進んでいるが、いずれも準優勝となっている。

第1セット、緊張からか大坂は最初のサーブゲームを落としてしまう。逆に、アザレンカのストロークが、正確にコントロールされていて大坂を揺さぶっていく。2度のブレークを許した大坂は、そのまま1-6でこのセットを落としてしまう。
セット13本のアンフォーストエラーとなった大坂、対するアザレンカは、アンフォーストエラーが3本、ファーストサーブの確率は94%と高い数字を記録した。

(c)Pete Staples/USTA
大坂なおみ (c)Pete Staples/USTA

続く第2セットも、流れを引きずる。大坂は第1ゲームでブレークを許して0-2となるのだ。そんな逆境下においても、大坂はポイント間に足を動かし、素振りなどをしてルーティンを心がける。そんなことが奏功したのかもしれない。第3ゲーム、集中力を高めるとブレークバックに成功。これをきっかけに、大坂にサーブの確率と勢い、リズムが戻ってきて、逆に6-3とセットを取り返す。現地の解説でも「大坂のストロークはアザレンカに比べ、早い打点でクリアだ」と称賛されていた。一方、アザレンカも慌ててはいない。ベンチでは、目を瞑って瞑想をして再度集中力を高めようとしていた。

(c)Simon Bruty/USTA
ビクトリア・アザレンカ (c)Simon Bruty/USTA

そして第3セット、2-1で迎えたアザレンカのサービスゲーム。相手のアンフォーストエラー、ダブルフォールトに助けられて大坂が先にブレークして3-1とする。直後の第5ゲーム、アザレンカにポイントを先行されて0-40とブレークポイントを握られたが、ここで5連続ポイント。ここをキープできたのが大きかった。その後、ブレークバックされて4-3とされるが、直後の第8ゲームでブレークバック。そしてサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップの第9ゲームへ。40-15でチャンピオンシップを迎えると、ここで激しいラリーに。最後は、アザレンカのショットがネットとなり万事休す。大坂の優勝が決まった。

セレモニーでアザレンカは、「3回目のトライ(決勝戦)だったけど残念でした。ナオミとチームの皆さんおめでとう。また、あなたとファイナルをやりたい」とコメント。さらに、パンデミックの中、開催ができたこと、プレーできたことに対して、USTAや自分のチームに感謝を伝えた。
そして大坂は「おめでとう、ビカ(アザレンカの愛称)、ファイナルはタフな試合だった。(若いころ)あなたのプレーを見ていました」とまず健闘を称えた。自身のチームに、USTA、スポンサー、関係者、そして日本で見ているファンに向けて感謝の言葉を伝えた。その後のインタビューで、この試合のターニングポイントを聞かれ、「ハードにトライすることを続けた」と語った大坂。決勝戦までの7試合に7人の名前入りのマスクを着用し入場した意味についても聞かれ、「人々が話し合うきっかけになればいい」と答えた。

優勝賞金の小切手の受け渡しやトロフィーの授与もなく自分で取るというコロナ渦のトロフィープレゼンテーションは、今大会ならでは。
2年前のトロフィーセレモニーも印象的だったが、今回はコロナ渦における無観客試合、テニスプレーヤーとして人権問題へ強烈なメッセージを発した大坂。今回の優勝はメンタル的にタフな状況を乗り越えてのものだけに、テニス界のみならず、社会的にも大きな影響を与えるようなドラマチックな優勝だったと言える。

特集 : 全米オープン 2020 【ここクリック!】

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文=知花泰三(全米プロテニス協会公認指導員資格保持者)