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2020.09.16

ギア情報

ウイルソン プロスタッフV13.0 RF97公開!!  キーワードは”#13代目の原点進化”

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2013年ウィンブルドンでの
”早すぎる敗戦”が
フェデラーを決意させた


1998年のデビュー時、フェデラーは85平方インチの「プロスタッフ・ミッド」を使っていた。そして2002年からはずっと90平方インチのプロスタッフを使用していた。なぜ「プロスタッフ・ミッド」だったのか? 元々は少年時代のアイドルであるステファン・エドバーグ(スウェーデン)に憧れてなのだという。日本を含め世界のテニスファンを魅了したエドバーグに、フェデラーも憧れていた。そのフェデラーも世界を魅了する、2人は選手とコーチという立場でタッグを組むことになるのだから、繋がりというのはおもしろい。



そのエドバーグとのコンビを発表した2013年あたりは、フェデラーにとって停滞期にあるタイミングだった。
前年のウィンブルドンでこそ優勝を果たしているが、グランドスラムの舞台で、ナダルやノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ジョー=ウィルフリード・ツォンガ(フランス)といった選手に負けることが増えてきていた。その理由の一つが、バックハンドでのミスである。ナダルをはじめ、多くの選手が、フェデラーに対して、特にバックの高い打点で打たせるようなプレーを強いていた。90平方インチで薄いフレーム厚では、当然パワーも落ちるし、スイートエリアも小さい。エッグボールと呼ばれるような強烈なボールに対して、フェデラーがアンフォーストエラー(いわゆるガシャり)を犯す。当時を知る人は、そんなシーンがあったことを覚えているだろう。フェデラーから明確な言葉はないが、これらが新たなラケット使用へのきっかけとなったことはまちがいないだろう。

その当時のことを知っているのが、フェデラーと共にラケット開発にあたったウイルソンのジョン・ライオンズ氏(グローバル・プロダクト・ディレクター)である。
「本格的に開発をスタートさせたのは、2013年の全豪オープン後なんだ。『新たなラケットをトライする準備ができた』というフェデラーからの連絡を受けて、数名のスタッフと共に様々なラケットを持ってスイスに飛んだ。その時に、彼は一つのラケットに興味を示した。そのまま黒塗りのラケットを使ってクレーコートの1大会に出場したんだ」と回想する。しかし、その時は、すぐに90平方インチのラケットに戻したのだが、同年のウィンブルドンであまりにも早い2回戦負け。これがフェデラーを決心させた。

「ヘッドサイズ、フレックス、バランスポイント、ストリングパターン、素材の組み方、様々なラケットを20本ほど作った。ある試作品は5分間打っただけでダメだったし、ある試作品は大会でも使用してみた。小さな変更を含めると250本くらいのラケットを作ったよ。すると、フェデラーは『メインが18本のものがコントロール面で良い』と言った。だけど、その時はパワーが足りないと言われて、ストリングの幅も蜜なもの、粗いものなどを調整していった。それは、すごく時間がかかるし、手間もかかる工程だった。最後にフェデラーが、最終的にこれを使うと決めた時も、私たちは本当?と疑うくらいになっていた(笑) 結局、1年以上を費やして完成した。そうして、新しいプロスタッフは完成したんだ」(ライオンズ氏)。バージョン10.0の開発にあたり127本の試作品を、という説もあったが、実はその倍近くのラケットを試していたことになる。




2014年に披露したバージョン10.0
その大きな変化に誰もが驚いた

「まだ果たせていないものがある。そのためにすべてを進化させたラケットを作って欲しい。特にスイートエリアの拡大とパワー。でもフィーリングはこれまでと同じものがいい」、それがフェデラーからの注文だったという。そのフェデラーの理想に応えることは、あまりにも大変だったわけだ。
2014年シーズン、USオープン前のATPマスターズ大会「ロジャーズカップ」でいよいよ製品版がお目見えとなる。進化のポイントは、①フェイスサイズは97平方インチに拡大 ②フレームの形状は50/50ジオメトリックス(ボックスフレームとラウンドフレーム、双方の特徴を採用した形状) ③21.5mm厚フレーム ④P.W.S(周辺加重機構)は薄く小さい形状に、というもの。
85平方インチ、90平方インチのプロスタッフが奏でていたフィーリングを、97平方インチでも保ちながら、パワー面では大幅なアップを図る。その効果は、当然小さいものではない。同モデルを使用した2014年はツアー6勝をあげているし、ウィンブルドン、ツアー最終戦で準優勝(ブラックコスメ含む)するなど、強いフェデラーを印象付けたのだ。




「原点進化」のプロスタッフで
2021年、どんなドラマを描くのか

そして、2016年に発売となった「プロスタッフRF97オートグラフバージョン11.0」で、フェデラーのこだわりが爆発したのは前述の通り。バージョン10.0のスペックのまま、指への感触にこだわった。
実は、このラケット、本来はUSオープン前のロジャーズカップで披露する予定だった。しかし、ウィンブルドンに出場したのちに、フェデラーが休養に入ったため、その年の使用はかなっていない。使用は2017年の全豪オープンより。そして、あの奇跡的なシーズンを過ごすのである。

2018年には、フェデラーの要望により、フレックスをわずか0.3ポイント柔らかくしたブラック×ホワイトの「プロスタッフRF97オートグラフ バージョン12.0」が発売となる。しかし、フェデラーが使用したのは半年足らず。USオープンより、オールブラックの「アンコンタミネイテッド・デザイン」モデルに戻している(中身は2018年モデル)。

2013年から1年以上をかけて行ったラケット開発。そこでパーフェクトに近いものを作り上げた。だからこそ、残るはフェデラーが納得するコスメを仕上げるだけ。そうしてバージョン11.0ができ、続くバージョン12.0でアレンジを加えた。
バージョン13.0では、プロ転向時に使用していたバージョン1.0、そして大成功を2017年に使用していたバージョン11.0を組み合わせて“原点進化”を図った。
バージョン13.0の「プロスタッフRF97オートグラフ」で、2021年、フェデラーはどんなテニスを披露してくれるか。全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン、その先には、東京オリンピックも待っている。バージョン13.0を操っての金メダル獲得、それを期待する人は少なくないだろう。





次回(2020/9/23更新)は「プロスタッフ V13.0、全貌詳解!!」 乞うご期待!!

★[Wilson Web Magazineバックナンバー(2011年1月号~2020年3月号)]
https://wwm.tennisclassic.jp/archive/backnumber/index.html

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