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2016.09.20

メーカーズボイス

US OPEN 2016 REPORT

US OPEN 2016 REPORT

シーズン最後のグランドスラム
USオープンは、積み重ねを披露する舞台とも言える
その中で、今年も新たなすたーが生まれ、歴史に残る名勝負も生まれた


錦織 圭
リオのリベンジをNYで、
マレーとの準々決勝は今大会のベストゲームとなった

錦織圭にとって、USオープンというのはグランドスラム(GS)の中でも特別な大会である。何より2年前は、準決勝でジョコビッチを破ってGS初の決勝進出を果たしている(準優勝)。昨年は1回戦負けしており、良い思い出ばかりではないものの、最も得意とするハードコートのGSであり、アメリカを拠点としている意味では、ホームでのGSという意味合いもある。  8月初旬、リオ五輪では銅メダルを獲得。すぐさま出場したシンシナティでのマスターズでは、2回戦で敗退。連戦の疲れは大丈夫なのか?そんな心配もされる中、USオープン開幕を迎えた。



大会1週目、1回戦の対ベッカー(ドイツ)、2回戦の対カチャノフ(ロシア)、3回戦の対マウ(フランス)はいずれもセットカウント3-1で勝利。フルセットこそないものの、どこか低調さが感じられ、2週目に向けて不安に感じる戦いぶりだったといっていいだろう。

ただ、そこは計算どおりだったのかもしれない。2週目の初戦、4回戦の相手はカルロビッチ(クロアチア)。ビッグサーバーだけに、リターンが重要なキーとなったが、「ヤマが当たった」こともあり、リターンは上々。試合を通しての集中力、ショットの精度も高くなるなど、スイッチが入った試合となった。3セット目こそタイブレークとなったが、今大会初めてのストレート勝ち。

「今日の試合はすごく良かった。2週目に入ってやっといいテニスができ始めている。次戦の準々決勝は(マレー戦)楽しみ。いい試合ができて、体力的にも問題はないので自信を持って臨める」

そして迎えた準々決勝、マレー戦。直前のリオ五輪では準決勝で完敗という内容だっただけに、当然簡単な試合にはならないことは明白だった。



第1セット、ショットの調子は良かったが、ファーストサーブが入らず。セカンドサーブを狙わると第4ゲームでブレークを許し、1-6で奪われてしまった。ただ、前試合後「強い気持ちで臨まないといけない」と言っていたとおり、これくらいで集中が途切れるような錦織ではなかった。雨による2度の中断(2度目に屋根が閉まる)があった第2セット、その間に作戦を変えたという錦織は、隙あらばネットに出ていく。それが功を奏し、5-4で迎えた第10ゲーム、マレーのミスを誘ってブレーク。セットを取り返した。第3セットは、両者で5ゲームをブレークするという展開に。その中でセットを奪ったのはマレー。あとがなくなった第4セットは、スピーカーからの異音、さらにコートに蝶々が舞うなど、想定外の出来事が続出。そのたびにプレーが止まり、マレーは明らかにいら立っていった。一方の錦織はどうかというと「反応するほど元気じゃなかった」とコメントしている。しかし「そういう時は逆に集中力がアップする」というように、6-1で第4セットを奪取した。第5セットも集中は途切れない。錦織が放つ強打が、信じられないほどの確率で入っていく。対するマレーは、それを何とか返すという状況。しかし、疲れも出てきたのか、錦織もミスを犯してしまう。4-3で迎えたサービスゲーム、40-30でネットに出ると簡単に決めると見られたボレーをミス。逆にマレーにブレークされると、続くゲームもキープされて、4-5に。それでも第10ゲームはラブゲームでキープ。 そして迎えたマレーのサービスゲーム。30-40とすると、ドロップショットを放ち、ネットへ詰める。それに対してマレーはストレートにパッシング。マレー曰く"あのボレーは、毎回決まるようなものではない"、それを錦織はしっかり決めてブレーク成功。ポイントを決められたマレーは、ラケットでネットを殴りつける。それだけ感情が出るほどの状況だったのだろう。これで6-5とすると、最後のサービスゲームを奪ってついに勝利をもぎ取った。試合後は、スタンディングオベーションが鳴りやまない状態に。まちがいなく今大会№1と言える好ゲーム。それに対するオーディエンスの称賛の拍手だった。

世界No.2を破った。そして2年ぶりの決勝進出に向けて、準決勝で対戦したのはワウリンカ。第1セットは、明らかに準々決勝終盤の集中力を持続していた。ワウリンカのバック側に高く跳ねるボールを供給して強烈バックハンドを封じつつ、錦織の攻撃的なショットが次々と決まるほぼ完ぺきな内容で第1セットを6-4で奪う。第2セットも第1ゲームでブレーク。決勝進出に向けて死角なしと思われた矢先、第4ゲームでブレークされると、状況が一変する。錦織の調子が徐々に落ちていったのだ。そのセットを奪われると、錦織の状況はさらに悪化。強引とも感じられたネットダッシュでなんとか流れを取り戻そうとするが、第3セットは4-6、第4セットを2-6で取られ惜敗した。

「疲れて思考能力が低下した。徐々に動けなくなって、長いポイントもプレーが難しくなってしまった...」。記者会見で素直に語った錦織。それでも、「今、1番目か2番目に強いマレーに勝てたのは自信になる。最近、トップの選手にも勝てるようになってきたので自信を持って戦いたい」と前を向いた。
2年ぶりの決勝進出はならなかった。しかし、その夢がかなう日はさほど遠くはない。そう感じさせたUSオープンだった。


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