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2023.09.12

選手情報

岩本功・ジュニアデビスカップ監督、日本ジュニアの求められることは「苦しくなってから闘う、ファイトする取り組みが練習から必要」

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――それはあえてレベルの高いタフなところに飛び込んでいくという方法を取ったということですね。
  
そうですね。修造チャレンジ、NTC(ナショナルテニスセンター)合宿、海外遠征、16歳ぐらいからジュニアデビスカップ組はオランダ遠征、ヨーロッパの今で言えば「J60」(かつてのグレード4)、南米遠征やヨーロッパ遠征など少しでも試合をしてテニスの「質」を上げた。(ダニエル)太郎は違うけど、今の(日本男子の上位にいる)ほぼメンバーは連れて行きましたが、それがあって今があると思っています。

これをスタートし始めた時の年間の目標は、ジュニアグランドスラムでベスト8以上を2回、年末のランキングでトップ10に入ること。年始は卒業生が出てくるので自動的に上がってきますが、そこを勘違いしてはいけません。そして、ATPポイントを取ることでした。

そうやり出して、やっと選手の芽が出てきたのですが、世界のジュニアのレベルが高い年や低い年など波はいまだにあります。(望月)慎太郎の頃のジュニアのレベルは高く、アルカラスやルーネがいました。2019年の慎太郎は全仏ベスト4、ウインブルドンで優勝、ジュニアデビスカップも世界一になったりしたことを考えると自分達にできることとしては、「環境」は大事だと思います。自分達だけでは選手を伸ばすことは限りがあり、「盛田ファンド」であったり、現在だと「ラファ・ナダル・アカデミー」に 行っている選手もいる。日本の各ホームコーチなども含め、その中で切磋琢磨しながら日本人選手のサポートをしています。

この夏に日本に帰った際には、日本のNTC(ナショナルトレーニングセンター)で合宿を行い、プロの練習にヒッティングとして入れてもらったりしながら工夫をしています。プロの選手とジュニアとのヒッティングという部分には気を遣いながら、良好な関係になるよう努めています。プロになれば年が10歳離れていても関係なく対戦するので。こういうグランドスラムの舞台を経験し、羽ばたいてデ杯に出場したり国を背負う選手になって欲しいですね。

――アルカラスやルーネもジュニアの当時から上手かったのでしょうか?

アルカラスは上手かった、というかエネルギーがすごかった。スタイルも今と変わらずです。ボールをすごく攻撃的に強く打つイメージですがミスは多かった。南米遠征に選手を連れていった時に齋藤惠佑がアルカラスにストレートで勝っていました。それが3〜4年前なので超エリートがものすごいスピードで成長したことになります。世界には超エリートがいて、エリートもいます。怜の場合は世界基準から見てエリートにいます。ただここから先が長い。

――追い込まないと成長しない、追い込みすぎても怪我につながるのでバランスを取るのが難しそうです。

彼はキャラクターもいいので。少しポイントがかかる場面で弱気なプレーになることもありますが、その殻を破らないといけない。こういう舞台の試合で(強気で)できるということ、それが普通でなければいけません。



USオープンジュニアシングルスでベスト16入りを果たした坂本怜

――それば教えてできるものでしょうか。

場数と経験です。それを言って、できるのであればみんなフェデラーやジョコビッチになれます。そんなものではないと分かっているから毎日、毎日の積み重ねが大切になってきます。

――現在のテニスは昔とは違いすぎるように思います。ドロップショットを拾う、ロブが上がりそれを取る、サイドに打ち込んでも決まらない。運動量を求められ、コートセンスも求められます。

(身体が)大きくて動けたにこしたことはない。それは海外にはたくさんいますが、怜のサイズは修造さん以来だと思います。15歳の時からこの舞台を経験しているということは世界のレベルの中にいる、ということだけの魅力もあります。

――日本人の良さと改善した方が良いところなどあれば教えて下さい。

個性が大事、エネルギーですかね。日本はどうしても枠の中に入れてしまいがちなところもあり、抑えつけられるわけではないですが、伸び伸びすることも大事なことだと思います。もちろんダメなものはダメ。ラケットを折ったりするなど態度のところですね。人間なので完璧な人はいないのですが、「個性」というのは大事な要素となってきます。エネルギーが出てくるかというのもポイントになります。

苦しくなってから闘う、ファイトする、ギアを上げるとかの取り組みが普段の練習から必要になってきます。それがこういう試合になった時にできることで自分のものになっていきます。(坂本は)もう少し体重が増えていくといいですね。他にも海外にいる日本人選手で良いプレーヤーがいます。その子たちが2、3年後に出てきて欲しいし、近いところで来年はいいプレーヤーが出てくると思います。


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写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma